東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 特集・連載 > 統一地方選2019 > 埼玉 > 記事一覧 > 記事

ここから本文
写真
 

注目区を歩く(2) 西7区(川越市) 女性候補、最多の3人

 「今回は候補者五人中、三人が女性。私には非常に不利な状況です」。三月三十一日夜、国民民主党現職の山根史子(35)は川越市内で開かれた決起集会で支持者に危機感を訴えた。

 民主党新人だった二〇一五年の前回選挙は、候補者七人中、唯一の女性。しかし今回、女性候補は県内選挙区で最多の三人が立つ。

 前回、二人三脚でローラー作戦を行った父親の山根隆治元参院議員(71)は「前回は(女性で新人という)期待値があった。今回は現職で時間も取れない。年二百三十五回の駅頭演説など、本人が若さと行動力で勝負している」と話す。

 同二十九日夜、川越駅前に立った自民党新人の渋谷真実子(45)は「遊説で反応してくれる人が多い」と手応えを語った。

 二年前、市長選出馬に伴って県議を五期目途中で引退した父親の渋谷実(75)の後継として、昨年からミニ集会を重ねてきた。しかし、今回は実が地盤としてきた市東部から、山根のほか新人、元職を加えた計四人が立候補。実は「ドブ板選挙しかない」と危機感を募らせる。

 実と近い衆院埼玉7区(川越市など)選出の神山佐市衆院議員(64)の厚い支援も受ける。今月二日には、神山の派閥トップの石破茂元防衛相(62)が市内二カ所で応援演説するなど、破格のてこ入れで保守票の拡大を狙う。

 共産党元職の守屋裕子(69)は三月二十九日午前、川越駅前での第一声を前に「消費税10%に対する市民の怒りはすごい。がんばって、と手を振ってくれる人が多い」と力を込めた。

 社会保障推進団体で行政との折衝を続けてきた守屋はマイクを握り「なぜこんなに国民健康保険税は高いのか。冷たい県政に命、暮らし、福祉の心を取り戻す」と支持者に呼び掛けた。

 市議、県議を各一期経験し、市議補選にも出馬した守屋に陣営幹部は「名前は浸透している。党チラシの全戸配布など組織を挙げて政策を訴えてきた。このまま空中戦、宣伝戦で突破したい」と意気込む。

 「五人で四議席は、これまでより厳しい選挙だ。取ったことのない票を取らなければならない。盛り上がりが足りないので陣営は危機感を持っている」。同二十九日夕、自民現職の中野英幸(57)は遊説から戻ると、すぐに帰宅ラッシュの川越駅頭へ向かった。

 この日午前の出陣式会場では、父親の元衆院議員中野清(83)が支持者一人一人を握手で迎えていた。一七年の衆院選で、中野英幸は富士見市出身の現職・神山に対し「川越から衆院議員を」との支持者の声を受け、ぎりぎりまで出馬を模索して断念した。支持団体の代表はあいさつで「中野さんは(衆院議員という)大きな夢を持っているのではないか。私たちは、この先に夢を持たせるような成績で当選させたい」と、父子の胸中を代弁した。

 この三十分後、川越駅西口近くに選挙カーで乗り付けた公明党新人の深谷顕史(44)は「まだまだ知名度不足を感じる」と真っ黒に日焼けした顔で話した。前回、保守票も取り込みトップで六選を果たしたベテラン福永信之(66)の後継候補。会社員からの転身という知名度不足を補うため、今年に入って二回、大ホールでの集会を開いた。

 陣営は選挙戦で「党のホープ」「川越の未来」と、若さや世代交代を前面に打ち出す。福永色を少しでも出さないためか、告示日の第一声や三月三十一日の駅頭演説会でも、福永はマイクを握らない徹底ぶりだ。

 深谷は「新しい元号で新しい時代を迎える時、誰にこの地域を良くしてもらいたいのか、それを選ぶのが今回の選挙」と声を張り上げた。 =敬称略(中里宏)

     ◇

(定数4−候補5)

山根史子 35 党役員 国現<1>

渋谷真実子 45 会社役員 自新

守屋裕子 69 党川越市副委員長 共元<1>

中野英幸 57 菓子製造販売業 自現<2>

深谷顕史 44 党県青年局次長 公新

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】