有権者と笑顔で握手を交わす神田さん(右)=18日、北本市で
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「よろしくお願いします」。肩から下げた拡声器を抱え、名前を連呼して歩いた。北本市議選(定数二〇)に立候補した神田庄平さん(94)。一九二四(大正十三)年五月生まれで、間もなく九十五歳になる。結果は二百七十二票で候補者二十二人中の最下位で敗れたが、卒寿を越えて市の将来を訴える姿は有権者に市政への関心を呼び起こした。
健脚が自慢。応援してくれる有権者があれば走り寄って握手を求めた。年齢を聞くと多くは目を丸くする。さらに「任期の四年間、九十八歳まで頑張ります」と聞けば、「すごいね」と笑顔になる。
郵便局員などを経て八七〜九九年に三期連続で市議を務め、引退後も市議会の傍聴は欠かさなかった。今回、市議選が無投票となる可能性もあったため「若い人がやらないなら」と二十年ぶりに出馬した。
落選には「残念だが、市民の声なので仕方ない」と無念の表情。「一市民として、北本市の行方を見続けることを九十八歳まで生きる力にしたい」と話す。
二年前に妻に先立たれ、一人暮らし。掃除や洗濯、料理など家事をこなし、ステーキなど肉が好物。健康の秘訣(ひけつ)は「三度の食事をきちんと取ることぐらいかね」と笑った。
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