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北本市長選 候補者の横顔

 継続か刷新か。再選を目指す現職に元市議の新人が挑む北本市長選の候補者2人の横顔を紹介する。 (渡部穣)

(届け出順)

◆市民対話の街づくりを

 三宮幸雄(さんぐう・ゆきお)さん(68) 無新

 「人口減少は全国的な課題だが、中でも北本市は顕著。生産年齢人口の減少も著しく、近い将来、深刻な財政危機に陥る」。言葉を選ぶように話し、最後にこう吐き出した。「現市政には危機感が感じられない」

 小学校教員を経て、市教育委員会の市史編さん室長に就いた。歴史調査を通じ「市内の素晴らしい自然に触れた」。その市の財産が開発という名の行為で次々と壊されていく。「これは政治の責任ではないか」と、一九九五年に市議に転身した。四十四歳だった。

 市長選は三度目の挑戦。九九年に環境重視を訴えて初出馬したが、四人中最下位。二〇〇三年に市議に返り咲き、二、三期目を務めた後、一一年の市長選に再挑戦するも及ばなかった。

 一五年の前回選挙は市議選(四選)に出て、市長選では今回対決している現王園さんを支持した。応援していた現職との対立については「見る目がなかった」と反省。「区画整理事業の多額の予算の一部を社会的弱者の救済に回すべきだ」と主張している。

 無類の歴史と自然好きで、歴史作家・司馬遼太郎のファン。趣味は史跡巡り。登山やトンボの観察などにいそしんだこともある。

 孔子の言葉「民(たみ)信無くば立たず」が政治信条。最初の市長選で敗れた浪人中に大学院で学び直した「政治とは街づくり」を基本理念に「史跡を街の宝に」と目を輝かせる。「プロのコンサル頼みの現市政を改め、市民の対話による街づくりを取り戻したい」

◆市内経済「さらに飛躍へ」

 現王園孝昭(げんのうぞの・たかあき)さん(72) 無現<1>

 「子育て支援」「企業誘致」「健康長寿の街づくり」「観光振興」。柱となる四つの政策のローマ字の頭文字を取った「4K」を公約に掲げ「さらなる飛躍を」と市内経済の活性化と再選に意欲を燃やす。

 鹿児島県出身。「東京に憧れ」上京し、一九六五年から都職員。七二年の結婚を機に北本市に移住。定年四年前の二〇〇三年、都財政課長補佐を辞し「地域に恩返しを」と市議選に出馬してトップ当選。相談せずに退職したため「妻は一週間寝込んだ」と笑う。以後、一五年に市長選に出馬するまで市議を三期務めた。政治家を志したのは、故郷で町長をしていた祖父の影響もあるかもという。

 四選を目指した当時の現職を破った前回の市長選では「市民主役の街づくり」を掲げ、今回の対立候補の三宮さんを含め、市政刷新を求めた元市議や市議らの支援を受けた。ところが、当選後の四年間で議会との関係は悪化。「目標は同じ。関係は改善に向かっている」とするが、かつての支援市議の多くが反現職に回った。「真面目で妥協が苦手」が短所であり、長所でもあると自らを分析する。

 朝の二キロほどの散歩が息抜き。演歌が好きで、特に北島三郎さんの歌はストレス発散につながると話す。

 尊敬する人物は同郷の西郷隆盛や大久保利通。政(まつりごと)を行うには心も態度も清く明るくなければならないとする大久保の言葉「為政清明(いせいせいめい)」が座右の銘。お互いに助け合うという意味の「結(ゆい)」も大事にしている。

 

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