東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 特集・連載 > 統一地方選2019 > 神奈川 > 記事一覧 > 記事

ここから本文
写真
 

横浜市議選 カジノ問題は争点か否か 候補予定者、明確にせず

山下ふ頭を想定したIR施設のイメージ図(シーザーズ提供)

写真

 カジノを含む統合型リゾート(IR)を誘致すべきか否か−。ギャンブル依存症への懸念などから反対が根強い一方、活性化につながると経済界は期待し、意見が分かれるカジノ問題。29日告示の横浜市議選で活発な論戦が期待できるかと思いきや、賛否を明確にしない政党や候補予定者が少なくない。有識者は「有権者に選択肢を提示すべきだ」と訴える。 (加藤益丈)

 「東京、横浜、大阪など大都市での事業を考えている」。米カジノ大手の幹部は五日、東京都内で会見し、横浜に熱視線を送った。別の米大手「シーザーズ」も昨年九月、山下ふ頭(中区)での建設イメージ図を公表。林文子市長が「白紙」との姿勢を崩さないのをよそに、業界では横浜は有力候補地の一つになっている。

 昨年七月に成立したIR実施法は、誘致を目指す県や市は事業内容と経済効果、ギャンブル依存症対策などを盛り込んだ「区域整備計画」を事業者と共同で策定し、議会の議決を経た上で国に申請する。最初のIR開業は二〇二〇年代半ばとみられ、今回の市議選の結果が市の姿勢に影響を及ぼすこともありうる。

 立憲民主党は告示後に誘致反対を訴える政策ビラを配る予定で、ある市議は「反対派が過半数を占めれば市は誘致を表明できなくなる」と力説。共産党は昨年十二月に公表した重点政策で、IRを中学校給食導入と並ぶ二大争点に位置付け「カジノ誘致ノーの議会を市民の手でつくろう」と唱える。

 これに対し自民、公明両党はマニフェストでカジノに触れていない。自民議員は先月の市議会で「取り組むべきかどうか判断がつかない状況」と慎重な言い方をし、公明の市議団幹部は「時期尚早で、争点になるならない以前の段階」と話す。

 国民民主党幹部も「第一弾での誘致は反対だが、詳しい仕組みが決まっていないのに争点にするのは選挙対策」と冷ややか。日本維新の会の候補予定者は「大阪と違い横浜は必ずしも推進ではない」としながら「統一見解はない」と主張する。

 法政大の五十嵐敬喜名誉教授(都市政策)は「カジノの規模や対策を決めるのは自治体の役割。市民生活に関係する重要な問題で、政党と候補予定者が賛否や理由を有権者に説明するのは当然だ」と話した。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】