選挙期間中に有権者と記念撮影する黒岩祐治知事(左)=3月23日、横浜市港南区で
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地域の今後を決めるのと同時に夏の参院選の前哨戦でもあった統一地方選は、全日程が終了した。有権者の関心が高まらず投票率が軒並み過去最低になるなど、全体的に盛り上がりに欠けた選挙戦だった。取材した記者が振り返った。 (統一地方選取材班)
A 相模原と大和市長選は多選の是非、各議員選は女性候補の数が注目されるなど論点はあった。しかし、知事選と平塚、大和市長選をはじめ多くの選挙で投票率は過去最低を記録した。
B 知事選は、投開票日が同日の県議選で無投票選挙区が過去最多の十三に上ったのが一因では。実際、県議選の投票がなかった三浦、逗子、平塚市などの投票率は二割台だった。
C 個人的に知事選の投票率はもっと下がると予想していたが、四割台に踏ん張った。賛否両論あったものの、演説をほとんどせずに有権者と記念撮影する現職の選挙戦は、少なくとも「選挙がある」という告知にはなったと思う。
D 一方で、戦後初めて無投票選挙区があった横浜市議選の投票率は微増だった。論戦になったわけでもない「カジノ誘致の是非」が押し上げたとは考えにくく、分析が必要だ。
E 大和市長選は、多選批判をした新人の票が伸び悩んだ。そうした訴えだけでなく、やはり有権者の心に響く具体的な政策を示さなければ支持は広がらないのかもしれない。
A 候補者数を男女同数にすることを目指す法律が施行されて初の統一選。女性擁立に動いた各党の努力をよそに候補者は集まらず、なり手の関心の低さが浮き彫りになった。
B 私生活との両立が難しいという課題の他に、政治家になる魅力が少ない。取材していると、街の課題を解決したいと考える女性は、起業を選択する人が多いと感じる。社長やNPO代表の方が自由にできる。
C 世の中の環境が変わり、インターネットで意見の発信などもできる。政党や行政なども前例踏襲から脱するべきだ。例えば県選挙管理委員会は、知事選の告示前日に出した委員長談話が四年前と全く同じで、報道各社から批判された。「選挙で盛り上がるのは政治家と行政、マスコミだけ」と言われてしまう。
D 今後の報道に生かせる要素もあった。立憲民主と国民民主は票を食い合ってつぶし合い、公明は横浜市議選南区選挙区で三千票近く増やすなど底力を見せつけた。得た視点を参院選取材に役立てたい。
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