県内政令市の政務活動費支給を記した資料。按分割合が議員によって異なる=横浜市中区で
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県議選と、横浜、川崎、相模原の三政令市議選が二十九日に告示される(四月七日投開票)。県議と県内の政令市議には期末手当を含め、いずれも一千万円以上の議員報酬が支払われ、特に県議と横浜市議は千六百万円を超え、高額だ。議員への公費支出のうち、主な項目を比較・点検した。 (統一地方選取材班)
◆報酬
四議会とも民間企業の給与増に合わせ、二〇一五年からの今任期で期末手当が増え、報酬総額も増加。県は四年間で年二十九万円、横浜市は同二十八万円、川崎市は同二十四万円、相模原市は同十九万円増えた。
全国都道府県議会議長会の調査などによると、都道府県議の報酬は、もともと全国最高額だった東京都が一七年度から20%減額し、現在は県が千六百八十一万円で最高額だ。全国市議会議長会のまとめでは、横浜市も千六百五十八万円で全国二十政令市の中で最も高い。ただし、県と横浜市は議員一人当たりの人口が他議会と比べて多く、ある横浜市議は「議員一人の負担が重く、妥当な報酬だ」と説明する。
◆政活費
「第二の報酬」とも言われる政務活動費は、議員の調査研究費や事務所賃料などに使われる。県(六百三十四万円)と横浜市(六百六十万円)は全国最高額で、川崎市(五百四十万円)も上位。一方、相模原市(百二十万円)は政令市で最も低い。
自動車のリース代を県と横浜市が請求できる一方、相模原と川崎両市は請求できないなど、議会によって支給基準が異なる。
事務所賃料や電話代など、使途が議員活動か政党・後援会活動か区別しにくい場合は、費用総額から一定割合を引いて請求する「按分(あんぶん)規定」がある。同規定が厳しい相模原市は「事務所費は二分の一のみを請求」などと明確に定める。
他の三議会は強制力がない「按分の考え方」を示すにとどめ、情報公開請求で入手した資料によると、議員によって政活費を充てる割合が三割から全額まで幅があった。余った政活費は返納する義務がある。ある県議は「グレーな使い方をすれば得をする。不公平感がある」と話す。
詳しい使途の閲覧は情報公開請求するか、議会に直接出向くしかない。全国的にはインターネットで公開する議会もあるが、県や横浜、川崎市では「議員が多く、データが膨大」として検討が進んでいない。
◆費用弁償
議会に来る際、議員には交通費が支払われる。県、川崎市、相模原市は実費支給。横浜市だけは選挙区から議会までの距離に応じて一日あたり千〜三千円の一定額を支払う仕組みで、実際の交通費より多く支給される場合が多い。
同市は〇七年に廃止されていた交通費などの費用弁償を一三年に復活させた経緯もあり、「有権者の理解が得られない」と、市議八十六人中三十五人が受給を断っている。
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