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今回の議員選、何が変わる? 「選挙運動ビラ」解禁 「政策本位に」と前向き

選挙運動ビラの印刷をチェックする立候補予定者。ビラの中央下には証紙貼付欄がある=横浜市内で(一部画像処理)

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 今回の県議選と政令市議選(4月7日投開票)、一般市議選(4月21日投開票)では、議員個人の名前と政策、投票呼び掛けを記載した「選挙運動ビラ」の作成・配布が可能になる。本紙の調べでは、県議選と3政令市議選の立候補予定者のほとんどが同ビラを作成する予定で、「政策本位の選挙ができる」などと前向きにとらえている。(志村彰太)

 これまで国政選、首長選で認められていた選挙運動ビラは、二〇一七年の公職選挙法改正で県議と市議にも解禁。A4サイズまでで、選挙管理委員会が発行する証紙を貼る。県議は一万六千枚、政令市議は八千枚、一般市議は四千枚を上限に発行できる。

 従来の選挙戦で候補者名を出せるのは、公営掲示板のポスター、選挙カーに付ける看板、たすき、自治体が発行する選挙公報が主だった。「名前をアピールできる手段が増える」。十四日、印刷工場でビラの出来栄えをチェックしていた横浜市議選の立候補予定者は、解禁を歓迎する。

 県議選の立候補予定者は「通行人に向けた演説だと、政策が十分伝わらず、名前を叫びがち。ビラはじっくり個人の実績と政策を見てもらえ、選挙戦の内容が濃くなる」と期待する。

 ただし、配布方法は候補者の選挙事務所内か演説会場で直接配るか、新聞織り込みに限られる。「配り切るには人手と資金力が必要で、現職有利に変わりはない」(横浜市議選立候補予定者)との声もある。

 一方、ビラ発行には一枚あたり七・五一円の公費補助があり、県議選の百五十二人と三政令市議選の二百七十七人の立候補予定者全員が発行すれば、計三千五百万円の税負担が生じる。発行しないという横浜市議選の立候補予定者は「税金と紙の無駄。インターネットでの訴えに注力する方が効率的」と話す。

 神奈川大の大川千寿(ちひろ)准教授(政治過程論)は「多額の税金が投じられるので、ビラに書かれた政策が重要。有権者もビラの内容をよく吟味すべきだ。候補者はスローガンや美辞麗句で漠然としたイメージを持たせるものではなく、有権者に対する説明責任を果たす手段と考える必要がある」と話している。

 

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