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県民の暮らし選択の春 知事選告示 現新一騎打ち

知事選が告示され候補者の訴えを聞く有権者ら=横浜市で

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 統一地方選の幕開けとなる知事選が21日告示され、3選を目指す現職の黒岩祐治さん(64)と市民団体代表の新人岸牧子さん(62)が立候補を届け出た。4月7日の投開票に向けて17日間の選挙戦がスタートし、県内でさまざまな課題に取り組んでいる有権者からは注文の声が上がった。

 障害児を育てる母親らでつくる社団法人「すかすかいっぽ」代表の五本木愛さん(44)=横須賀市=は「近年、軽度の発達障害のある子どもが増えており、『居場所がない』などと悩む親の声をよく聞く。子育ての現場での新たな課題をきちんと把握し、敏感に対応して」と注文を付けた。

 人口減が激しい三浦市で若者らの定住促進に取り組む不動産業岩野孝一さん(44)は「過疎地の活性化を協議する際は、学者らだけでなく、地元の現実をよく知る地域住民らの意見をもっと取り入れる仕組みがあるといい」と要望。また、「空き家対策にも力を入れてもらいたい」と語った。

 厚木基地爆音防止期成同盟の石郷岡忠男委員長(75)=綾瀬市=は「神奈川は沖縄に次ぐ基地県。騒音や事故への不安など、住民はいつまで苦しい思いをしなければならないのか。知事は国に負担軽減を強く求められる人物であってほしい」と願った。 (福田真悟、曽田晋太郎)

◆関東学院大の原口准教授 若年層の低投票率に警鐘

 明確な争点がないとされる知事選。有権者は何を基準に投票するべきなのか。関東学院大の原口佳誠(よしあき)准教授(憲法、英米法)に話を聞いた。

 原口准教授は、県が取り組む課題を「国政と違い、教育や高齢者医療など生活に密着したものが多い」と説明。「候補者が多様な論点を提示し、きちんとした意見の主張と対立があれば、有権者がそうした問題を考えるきっかけになる」と強調する。

 今回、国政で野党第一党の立憲民主が独自候補を擁立しなかった。当初予定していた黒岩さんへの推薦も、政策合意ができずに見送った。この点ついて「有権者の選択肢を確保するという観点からは、態度を示せなかったのは残念」と述べた。

 近年は低投票率が続き、前回も40・71%にとどまった。「特に若年層が低い。投票率が高い高齢者に比べて存在感が薄まり、子育てなど、若年層にとって重要な政策が重視されづらくなる恐れがある」と警鐘を鳴らし、「知事選は、県の将来を考えるというだけでなく、これまでの県政をチェックする機会でもある。投票することは重要」と説いた。 (福田真悟)

 

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