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県議選 無投票当選、過去最多の見通し 「民主主義の危機」懸念も

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 県議選では、一人区を中心に十四選挙区の二十二人が無投票当選する見通しになっている。選挙区は全体の29%、人数は21%に上り、いずれも過去最多。これまでは一九九一年と二〇一五年の十一選挙区、十六人が共にワーストだった。専門家から「民主主義の危機。有権者には大きな損失だ」と懸念の声が出ている。

 無投票の見込みなのは横浜市西(定数一)、中、南、金沢、都筑(同二)、相模原市中央(同三)の各区と、平塚市(同三)、逗子市・葉山町、三浦、座間、綾瀬市、寒川町、大磯町・二宮町、足柄下(同一)。

 先月中旬時点で二十二選挙区で無投票の恐れがあり、その後、候補予定者が現れて十四まで減った。今月中旬に立候補を決めた男性は「当選するとは思わないが、民意を問う機会が奪われるのは許されない」と語る。

 関東学院大の出石(いずいし)稔教授(地方自治)は「政治家のなり手が不足しているのに加え、権限と財源の移譲が進む政令市選出の県議は役割が少なく、魅力があまりない」と二つの要因を指摘する。また、「横浜市議会は歴史が古く県議よりブランド力がある」として候補者が流れやすいとも語る。

 一方、ある政党の県組織幹部は「新人が出馬の動きを見せると、つぶしにかかる現職もいる」と明かす。別の政党幹部は「野党が分裂した状態で組織が弱く、対抗馬を擁立できない」「これまで積極的に擁立してきた共産党関係者の高齢化が進み、候補者が見つからない」と分析する。

 出石教授は「いずれにしても有権者の選択肢がないのは問題。政治離れを一層加速させることになる」と指摘。「休日や夜間に議会を開いて元の仕事と兼業できる仕組みを整えるなどして、なり手を確保する必要がある。政令市選出の県議の定数や役割も見直すべきだろう」と提言した。(志村彰太)

 

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