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現新一騎打ちの大和市長選 多選の是非、21日に審判

 無所属の現職と新人の一騎打ちとなった大和市長選は、四選を狙う現職の「多選」の是非を主な争点に、日に日に熱を帯びている。有権者は、東京や横浜のベッドタウンとして成長する同市のかじ取り役をどちらに任せるのか。二人の戦いを追った。 (曽田晋太郎、鈴木弘人)

 選挙戦三日目の十六日の昼下がり。小田急江ノ島線と東急田園都市線が乗り入れ、周辺に新興住宅地が広がる中央林間駅前に、現職大木哲(さとる)さん(70)と新人二見健介さん(41)の姿があった。街宣車の上で演説する大木さんに対し、二見さんはスタッフや市議らと共に道行く人にビラを配る。

 「健康都市を目指し、これからも頑張りたい。力を与えてください」。大木さんは三期の実績を強調し、こう声を張り上げた。告示後、団地周辺や駅前などで一日数十回演説。不特定多数に訴えるスタイルは「県議時代から貫いている」。

 大木さんは横浜市青葉区選出の県議を三期務め、二〇〇七年に市長選に出馬した。四選を狙った現職の「多選」を批判し初当選。翌年、市長任期を連続三期までとする「多選自粛条例」の制定を実現した。

 条例の理念に反しての立候補に「最終的には有権者の判断」との姿勢を示すものの、かつての身内からも反発の声が上がる。三月の出馬表明直後、元後援会長らが地域紙に条例順守を求める寄稿をした。皮肉にも十二年前に掲げた多選批判が自身に降り掛かる形になったが、大木さんは「大事なのは政策。実績を含め共感している人は票を投じてくれる」と意に介さない。

 二見さんは市議を二期務め、自民系会派に属した。課題は知名度不足で、「とにかく顔を売るため、一人一人に話をするイメージで活動する」(選対幹部)との戦略を描く。大和青年会議所(JC)理事長を務めたつながりで、JC関係者ら三十、四十代の若い世代が活動を手伝い、若年層への浸透も図る。

 十六日の中央林間駅前では親子連れから高齢者まで幅広い層がビラを手にし、「市政を変えてほしいとの声をもらった。反応はいい」と二見さん。人口が多い北部を中心に市街地を自転車で回り、駅前で演説するなど支持拡大にひた走る。

 多選批判の受け皿としてのアピールも忘れない。街頭演説では「多選の弊害で市政に停滞が起きている。条例を守らないのは問題。このままでは大和がだめになる」と力説する。党派を超えて賛同する議員がおり、幅広い政党支持層の票獲得も狙っている。

 投開票は二十一日。パート従業員裏辻るりこさん(69)は「現職の市政運営に不満はないが、多選を批判して当選した経緯がある。世代交代の時期だとも思うので、どちらを選ぶか悩む」と語った。

 

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