統一地方選の四十一道府県議選(二十九日告示、四月七日投開票)のうち、関東で実施される五県議選では三分の一超の選挙区が無投票となり、有権者の四分の一超に当たる約五百八十万人が一票を投じる権利を奪われる恐れがあることが、本紙の取材で分かった。地方議員のなり手不足は地方だけでなく、首都圏でも深刻化している。
五県議選は栃木、群馬、埼玉、千葉、神奈川。各県選管や関係者への取材では、現時点で計百七十六選挙区のうち37・5%に当たる六十六選挙区で立候補予定者が定数以下。このままいけば無投票で告示日に当選者が決まる。五県の総定数三百九十二人のうち、26・3%に当たる百三人が無投票で決まりそうな情勢だ。
この結果、百七十六選挙区の有権者計二千二百二十八万二千七百八十人のうち、26・0%に当たる六十六選挙区の計五百七十九万二千六百二十八人が、投票できない可能性がある。
二〇一五年の前回統一地方選では、関東の五県議選は計百八十一選挙区のうち五十選挙区の計七十一人が無投票で当選した。総定数に占める割合は18・1%。約三百六十万人の有権者が一票を投じられなかった。今回は、前回に比べて全体的に無投票が拡大しそうな状況だ。
県別では、定数に占める無投票当選者の比率が最も高くなりそうなのは埼玉の31・2%。以下、千葉の30・9%、神奈川の26・7%と続く。
政令市で行われる県議選も傾向は同じ。千葉市では六選挙区のうち三選挙区、横浜市は十八選挙区のうち七選挙区が無投票の恐れがある。道府県から政令市に所掌事務や財源の移譲が進み、住民と行政の仲介役を担ってきた道府県議の地位が低下している事情が背景にあるとみられる。
無投票になると、有権者は、子育て支援や高齢者福祉の充実など、自分が重視する政策を訴える候補者を選択する機会を失う。身近な政治への関心が低くなると懸念されている。
この記事を印刷する