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地方議会、自主解散の動き 首長選と同日実施で費用削減

 地方議会が任期満了前に自主解散し、選挙を首長選と同日に実施する動きが各地で出ている。有権者の関心を集めて投票率を向上させ、選挙費用も削減する狙いだ。逆に、一部住民から自主解散を望む声が上がっても、議会が応じないケースもある。 (坂田奈央)

 今回の統一地方選に合わせた自主解散は、茨城県美浦村や徳島県石井町、熊本県錦町の各議会。いずれも八月の任期満了を前に今月解散し、四月二十一日に首長選と同時選が行われる。

 石井町と錦町の両議会が自主解散した背景には、住民の声があった。石井町議会事務局の担当者は「町民の二割から署名で自主解散を求められていた」と本紙に明かした。

 地方自治法は住民投票で過半数が賛成した場合、議会は解散と規定。住民投票の実施には、有権者の三分の一以上の署名による解散請求が必要でハードルが高い。石井町、錦町の両議会は解散請求に届かない数であっても、町民の要望を重視したということだ。

 美浦村議会は、純粋に議会の判断として解散を決めた。同議会運営委員長の石川修村議(71)は「投票率が年々悪くなっている。村長選と一緒にすれば上がるかもしれない」と本紙に話した。「残り任期が一年以上あったら私も決断できなかった」とも語った。

 美浦村議会は、同時選にすることで選挙費用を約三百五十万円節約できると試算する。過去には二〇一五年に自主解散した埼玉県毛呂山、杉戸両町議会が選挙費用を削り、投票率低下に歯止めをかけた例がある。

 一部の議員や住民の自主解散を求める声には応じなかった議会もある。

 三重県名張市議会は一八年三月、市議選を市長選と同日に行うために任期満了の五カ月前に解散する議案を「時期尚早」と否決。東京都品川区議会は一八年八月、区議選を七カ月前倒しして区長選と同時に実施するよう求める請願を採択したが、解散は見送った。

 両議会では、理由として「公約を実現する時間が短くなる」「経費削減ならほかの予算を削るべきだ」といった意見が出た。

 早稲田大マニフェスト研究所の中村健事務局長は、厳しい財政状況から地方議会の自主解散は増えると予測。その上で「自主解散を望む住民の声を拒否する場合、プロセスを住民と共有しないと、もともと関心を持たれていない議会がさらなる不信を招く」と警鐘を鳴らす。

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