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地上イージスで温度差 秋田、争点に浮上 自民も疑問/山口、首相の地元「沈黙」続く

ルーマニアに設置されたイージス・アショアの施設=2016年5月(ロイター・共同)

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 地上配備型の弾道ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」の配備候補地となっている秋田、山口両県で、統一地方選の県議選が七日に投開票される。秋田では争点の一つになり、野党候補は配備に反対し、自民党候補からも疑問の声が上がる。安倍晋三首相のお膝元・山口では、自民候補は「沈黙」している。 (中根政人、上野実輝彦)

▼反発

 「イージス・アショアについて逃げることなく自分の考えを話してきたつもりだ」。陸上自衛隊新屋(あらや)演習場への配備が検討されている秋田市。県議選秋田市選挙区(定数一二)に立候補した自民現職(43)は出陣式で、こう語った。

 陸自出身のこの現職は、住宅密集地に隣接する新屋演習場への配備は「最適ではない」と反発してきた。ただ、知事や市長が法的に配備を阻止するのは難しいとして、代替地の検討を政府に促すのが現実的な手段だと訴えている。計画の撤回を求めない姿勢に「地元の方々から厳しい意見もいただいた」と漏らす。

 新屋演習場がある地区を地盤とする自民現職の菅原博文氏(64)は二月下旬、三選出馬を断念した。直前の県議会一般質問では配備計画に反対を表明した。菅原氏は「取りやめは(イージス・アショアと)関係はある」と本紙に語った。

 同地区には約五千四百世帯、約一万三千人が住み、小中学校、高校がある。地区の十六町内会で構成する自治会組織は昨年七月、配備反対を決議した。

 野党側はイージス・アショアを県議選の最大の争点に位置付ける。共産党現職(57)は「ミサイル基地があったら真っ先に(敵国に)狙われる」と強調。社民党現職(68)も「子どもに平和な秋田を残したい」と配備阻止を訴える。

▼空気

 山口県では、陸自むつみ演習場(萩市、阿武町)が配備候補地だ。県議選萩市・阿武町選挙区(定数二)は、自民現職二人と無所属新人二人の計四人の争い。ところが、自民候補は選挙戦でイージス・アショア配備にほとんど触れず、争点になっていない。

 自民現職の一人は、演習場周辺の支持者から「票が増えなくなるので、問題に触れないでほしい」と頼まれたという。自民党籍を持ちながら配備に反対を表明した阿武町の花田憲彦町長は「山口には安倍政権の方針は尊重して当然という雰囲気がある」と明かした。

 防衛省は、イージス・アショアのレーダー電磁波による健康被害を懸念する候補地の声を受け、電波の実測調査をしてきた。当初は三月末に調査を終了する予定だったが、五月に延期した。統一地方選への影響を避けるためだとみられる。

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