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原発立地の10道県議候補 再稼働9割触れず

 統一地方選で七日に投開票される道府県議選のうち、原発が立地する十道県の候補者の九割が、選挙公報で原発の再稼働問題に言及していないことが本紙の調査で分かった。原発の話題自体にすら触れない候補が多く、地元で争点化が回避されたまま、再稼働に向けた動きが進む現状が浮き彫りになった。

 今回から公報が配布されている新潟、福井県を含め、完成した原発がある十道県で選挙管理委員会が作った選挙公報を分析。無投票当選の選挙区などを除く五百六十七人分を調べた。

 原発の再稼働や稼働停止への賛否を記さなかった候補は、全体の91・7%に当たる五百二十人。東京電力柏崎刈羽原発があり、昨年の知事選で再稼働問題が取り沙汰された新潟などを除き、幅広い地域で大勢を占めた。

 「稼働停止」「廃炉」などの言葉を含め、再稼働反対の意思を示したのは四十四人で全体の7・8%。道県内候補に占める割合は新潟の20・6%が最多で、続く北海道で10・1%、静岡で8・1%にとどまった。

 再稼働に賛成の意思を記したのは福井県の一人だけ。言及したものの、「安全性の検証結果が出るまで再稼働の議論はしない」「再稼働・廃炉の課題解決」などと、賛否が明確でない候補も二人いた。

 一方、「脱原発」「原発ゼロ」などの表現まで含め、原発に反対の意思を示した人も、最多の新潟で二十七人、続く北海道でも二十四人だけだった。賛意を記したのは福井の二人と石川の一人。全く原発に触れない人が全体の78・1%の四百四十三人に上った。

 北海道と福井、島根で議員選と同日に投開票される知事選の候補九人でも、公報に再稼働に反対の意思を書いたのは二人だけで、七人が言及していない。

 河村和徳・東北大准教授(政治学)は「住民に近い道県議選で民意をすくい上げられていないのは残念。一人区、二人区も多いため、触れない方が広く票を取れる心理が働きやすいが、原発は重大な地域の問題だ。候補は逃げずに是非を論じてほしい」と話している。 (榊原崇仁、安藤恭子)

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