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駆け込み定数減 市町村で相次ぐ 議員の利害優先?

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 統一地方選後半戦の市町村議選(二十一日投開票)を前に、条例を改正して議員定数を減らし、定数割れを回避する動きが全国の市町村議会で相次いでいる。有権者にとっては投票機会の確保につながるが、議員が利害を計算して定数を減らしたとみられるケースもある。識者は「地方政治への関心を高めて選挙戦になるのがあるべき姿だ」と訴える。

 市町村議選の結果、欠員が定数の六分の一を超えると公職選挙法に基づき再選挙となる。全国的に議員のなり手不足は深刻化しており、再選挙は現実的な問題となっている。昨年十一月の群馬県昭和村議選は、定数一二に対して九人しか立候補せず、今年一月に再選挙が実施された(欠員分の三人が無投票当選)。

 本紙の調べでは、統一地方選後半戦の対象となる全国の市町村議会のうち、昨年十二月から今年三月にかけて、少なくとも十以上の議会が定数を減らした。このうち山梨県丹波山(たばやま)村、石川県志賀(しか)町、富山県舟橋(ふなはし)村、京都府木津川(きづがわ)市の各議会は二〇一五年の前回統一地方選は無投票だった。

 定数減には地域ごとの政治事情も絡んでいる。志賀町議会は三月十五日、定数を一六から一四に減らす条例改正案を可決。その後の事前説明会には十五陣営が参加し、選挙戦となる見通しだ。

 同議会は昨年十二月、定数削減を求める住民の請願を反対多数で不採択にしている。統一選が近づき、定数割れが現実味を帯びると一転して削減を決めた。地元では、現職議員が特定の新人を当選させないために定数を減らしたとの見方も出ている。

 群馬県藤岡市議会も三月十四日、定数を二〇から一八にする条例改正案を可決。賛成討論に立った議員は、立候補予定者説明会に十八陣営しか出席しなかったことに触れ、削減の必要性を訴えた。ただ別の議員が提出した一七への削減案は反対多数で否決された。

 明治大の牛山久仁彦教授(地方自治論)は「議員の利害や有権者の目を気にして定数を減らすとすれば本末転倒。無限に減りかねない」として、なり手を増やす努力こそ王道と指摘。「投票率が低い若年層の意見を反映させる機会を増やすなど、議会の機能を高める努力が必要だ」と訴える。 (大野暢子)

 

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