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報酬二重取り? 交通費 20市区で支給 関東31市区議会本紙調査

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 議員の待遇面は地方議会でも議論の的だ。本会議や委員会への出席時に交通費などとして各議員に払われる「費用弁償」は、ときに「報酬の二重取り」批判も起こる。本紙が関東の三十一市区議会に実施したアンケートでは、二十市区で制度が残り、最も高額の日額三千円が八区で払われていることが分かった。議員の活動費はどうあるべきか。 (中村真暁)

 「約十一平方キロの区域で日額三千円の費用弁償が必要なのか」

 東京・文京区議会の議会運営委員会で昨年十一月、一部会派が費用弁償の廃止を提案し、激しい議論が繰り広げられた。しかし、「選挙後に議員定数も含めて決めるべきだ」との意見もあり、賛成少数で否決された。

 同区で二〇一七年度、全三十四議員に払われた費用弁償は計四百八十五万円で一人当たり年間約十四万三千円。鉄道では区内のどの駅からも区役所まで往復五百円もかからない。自家用車の議員は区役所駐車場を年二万五千円で利用でき、その費用も政務活動費とする人もいるのが実情だ。

 費用弁償は地方自治法で認められているが、〇〇年以降全国的に廃止や減額が活発になった。

 本紙アンケートによると、現在制度がないのは計十一市区。墨田区は「公費削減に努める」と全議員提出議案で一三年度から日額五千円を廃止した。実費か、四百円(千代田区)など実費相当は五市区だった。

 公用車も各市区で運用が分かれた。議長車は全市区にあるが、副議長車は水戸、さいたま、千葉、横浜、川崎の五市のみ。七年前に副議長車を廃止した北区は「推定で年約三百三十万円の削減」という。さらに世田谷、文京、品川各区は「効率的に運用する」ため区職員も議長車を使える。

 また、昨年度の議員報酬の見込み額(役職なし、期末手当含む)は、最高が千六百五十八万円(横浜市)、最低が九百八十六万円(前橋市)。記録が残る十二市区のいずれも平成の三十年間で百万〜三百万円ほど増えた。台東区に問うと「人事院勧告などを受け、執行部(区側)が提案した」との答えが返ってきた。

 早稲田大マニフェスト研究所の北川正恭顧問は「地方自治の推進には、議会が民意の反映機関として執行機関と対峙(たいじ)できるよう、一定の活動費は必要」との立場だ。しかし一方で、必要性があいまいな待遇のある議会は「襟を正した方がいい」とピシャリ。「運用のされ方や根拠を説明できる見識や情報公開は必須だ」

<アンケートの方法> 3月中旬から下旬にかけ、関東1都6県の県庁所在地と政令市、東京23区の議会を対象に実施。メールやファクスで各議会事務局から回答を得た。

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