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地方議員選も選挙ビラ解禁 作成費補助、条例制定しない自治体も

 今回の統一地方選では、町村議選を除く地方議員選で、選挙期間中に候補者が選挙ビラを配布できるようになった。政策本位の選挙に向けて順次、導入が進んできた制度改正で、候補者は歓迎している。作成費を公費で補助する仕組みもあるが、必要な条例を制定していない自治体もある。 (清水俊介)

 国政選挙では、選挙ビラのほかに、二〇〇三年十月の衆院選からマニフェスト(政権公約)冊子の配布もできるようになった。地方選では〇七年三月に知事選と市区町村長選でビラ配布が解禁された。地方議員選は、当選に必要な票数が少なく、不特定多数の有権者に政策を浸透させる必要性が比較的薄いという理由で後回しにされてきた。

 今年三月施行の改正公職選挙法で、都道府県議選と市区議選でもビラ配布を解禁。町村議選では検討課題のままだ。解禁となった選挙では、候補者はA4判以下のビラを配れる。枚数は選挙の種類ごとに異なる。

 ポスターや選挙はがきと同様、ビラの作成費は選挙が行われる自治体が上限つきで補助する。候補者の資金力によって不公平が生じないようにするためだ。一般市議選と東京都特別区議選の場合、候補者一人当たり最大三万四十円が出る。

 施行後で最初にビラ解禁となった三月十七日の東京都台東区議選で、最高得票で三選された本目(ほんめ)さよ区議は「前回までは(告示されて)選挙になった途端に配れなくなったが、今回はいつも通りにビラを配れて政策を伝えられた」と歓迎。公費補助は「ありがたい」としながら、デザイン代などもかかるため全額は賄えないと打ち明けた。

 自治体が公費補助を出すには、条例の制定が必要。全国の地方議会の活動を継続的に調査している早稲田大マニフェスト研究所の調査によると、制定する予定がない自治体がある。山梨県大月市では昨年十二月、市議会が条例案を否決。市選挙管理委員会は主な理由を「財政難」としている。候補者は自己負担でビラを配れるが、経済的な事情であきらめる可能性がある。

 同研究所の青木佑一事務局次長は「(議会への)関心が特に高まる選挙時に、議会や議員が何をしているのかを伝えるツール(手段)として選挙ビラは活用されるべきだ」と指摘。公費補助が出ずビラがあまり配られないと「選挙自体への関心が高まらず、投票率低下の一因になることが懸念される」と訴えている。

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