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千葉

戦いの構図(上) 2議席死守狙う自民

2019年6月16日 紙面から

集会であいさつする石井準一さん(左)と豊田俊郎さん(右)=いずれも成田市内で

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 八日に千葉市内で開かれた自民党県連の定期大会。新会長となった渡辺博道復興担当相は、夏の参院選(千葉選挙区は改選数三)に向けて、「二人の現職を絶対に当選させる」と決意を語った。

 立候補を予定するのは、石井準一さん(61)=二期=と、豊田俊郎さん(66)=一期。過去の参院選で同党は二回連続して二人の当選者を出している。

 今回は、旧民主・民進陣営が二人を擁立せず、現職の長浜博行さん(60)=二期=だけが出馬。共産は三年前の前回、次点だった新人の浅野史子さん(48)を立てた。

 だが、自民党県連は危機感を募らす。党本部が五月に行った電話調査で、「石井が圧倒的、次が長浜。豊田と浅野が三番を競っている」との結果が出たからだ。河上茂県連幹事長は「豊田さんはあれだけまめに県内を動いているのに、支持率が低いのは信じられない」と驚きを隠せない。

 石井さんは茂原市出身。国会議員秘書を十一年、県議を五期務めた後、二〇〇七年の参院選で初当選した。最近は予算委員会の筆頭理事として、与野党協議を取りまとめる様子がテレビで映し出され、存在感を高めている。定期大会で石井さんは「参院のど真ん中で活躍し、(支援者に)一つ一つ恩返ししたい」と話した。

 一方、豊田さんは二十代前半で土地家屋調査士の事務所を設立し、政界入りは四十歳を過ぎてから。県議を一期、八千代市長を三期務めた後、六年前の参院選で初当選し、土地の専門家として政策立案に関わった。党員を前に、「地味で細かい仕事だが、所有者不明の土地問題に取り組むなど、六年間まい進した」と実績を強調した。

 二人の当選に向けて、渡辺会長は「三番以内で当選させるのが私の仕事。県連として(豊田さんの)重点支援を考えていく。土地の話よりも大きな視点で話をしてアピールする必要がある」と、豊田さんの知名度向上をポイントに掲げる。

 ただ自民の県議は二つのグループに分かれていて、石井さんと豊田さんそれぞれを応援する。過去の参院選では、両勢力が競ったことが票を伸ばす原動力になった。

 四月の県議選では、自民現職と、石井さんが支援する無所属新人が争う選挙区が複数あり、禍根を残した。ある自民県議は「党内に混乱を招いた」と語る。

 大会でゲストとしてスピーチした党本部の萩生田光一幹事長代行は「千葉は一丸ではなく、二班に分かれて頑張ってください」と期待したが、地域や団体で支援を振り分ける「すみ分け」は容易ではない。

 公明は、候補を立てない千葉選挙区で自民の二人を応援し、比例代表で自民の票を回してもらう協力態勢を築く。同党県本部の幹部は「自民二人の当選を目指す」としながらも、どちらを応援するかは「出来高払い」。集会などで「比例は公明」と支持者にしっかりと訴えかけた度合いに応じて支援する考えだ。

     ◇

 夏の参院選は、七月四日公示、二十一日投開票が予想され、各陣営の活動が活発になってきた。千葉選挙区には、主要政党から四人が出馬を予定。少数激戦が予想される中、各党・陣営の動きを追った。

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