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千葉

戦いの構図(下) 立民死守「三たび政権奪取へ」

2019年6月17日 紙面から

(左)市民に語りかける浅野史子さん=船橋市内で (右)街頭演説する長浜博行さん=千葉市内で

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 千葉市内で二日、立憲民主公認で千葉選挙区(改選数三)から出馬を予定する元環境相の長浜博行さん(60)=二期=の事務所開きがあった。無所属の野田佳彦前首相や国民民主県連代表の奥野総一郎衆院議員ら旧民主・民進のメンバーが集結。「ガラス張りの政治!」と書かれた赤いシールを胸に貼り、一体感を演出した。

 野田前首相は、同じ松下政経塾出身の長浜さんについて、「四十年来の友人。何党から出ようとも応援する」と語り、立民県連の生方幸夫代表は「オール千葉で戦える態勢が整った。有権者が動けばトップ当選できる」と自信をみなぎらせた。

 一昨年秋の衆院選で、民進党は小池百合子東京都知事が代表を務める希望の党、立民、無所属の三つに分裂。県内の選挙区でも民進の候補はそれぞれの立場で出馬した。

 長浜さんは昨年、民進と希望が合流した国民の県連代表に就任したものの、すぐ無所属に。その後、国民を除籍処分になり、立民に入党した。だが同党は「民主の火を消さない」(奥野県連代表)と長浜さんを支持する見込み。

 「ミスター民主党」を自負する長浜さんは政治家になって二十六年目で八回目の選挙。一九九三年、二〇〇九年に続く三回目の自民党からの政権奪取を見据える。事務所開きのあいさつで長浜さんは「小異を捨てずに大同に付くという形の中で寛容と忍耐の心でお集まりいただいた」と支持者に感謝した。

 民進は三年前の前回、二人を擁立した。今回は立民、国民両党の支持率が伸び悩む中、「二人立てられる時代ではない」(旧民進の衆院議員)と長浜さんだけが出馬。一議席死守の戦いとなる。

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 「『女性は子供を三人以上産んでもらわねば』。余計なお世話です」

 六日、習志野市内で開かれた共産党の集会。参院選千葉選挙区に新人として立候補を予定する党県副委員長の浅野史子さん(48)は、桜田義孝前五輪担当相の発言を引き合いに、「女性の人権を否定する発言」と批判。候補予定者でただ一人の女性である点を踏まえ、「女性の声を国会に」と訴えた。

 浅野さんは今回が九回目の国政への挑戦。高専を卒業後、土木技師として木更津市役所に勤務した。子ども三人の子育てをしながら参院選に臨む。

 今回の参院選で、野党は一人選挙区で候補者を一本化したが、複数区の千葉では立民、共産に分かれての戦いとなる。それでも党県委員会の浮揚幸裕委員長は「(長浜、浅野両氏が)市民連合と共通の政策協定を結ぶなど、共闘の流れは変わらない」と語る。

 千葉選挙区で共産は、二〇一〇年に十六万、一三年に二十三万と票を伸ばし、前回の一六年は浅野さんが三十五万票を獲得した。今回は自民現職の石井準一さん(61)=二期、豊田俊郎さん(66)=一期、立民の長浜さんらの出馬を見据え、「五十万票が当選ライン。自民の一角を崩したい」(浮揚委員長)と、暮らし、福祉といった政策を訴えていく。

 一方で、共産は四月の県議選では議席を五から二に減らした。政権批判の受け皿として、立民に票が流れたとの見方もある。選挙戦では共産の魅力をうまく伝えられるかがかぎとなりそうだ。 (この企画は村上豊が担当しました)

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