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<大人って…>(下)増税や年金問題に注目

2019年7月14日 紙面から

改憲について語り合う(左から時計回りに)木村寿々香さん、石橋尚都さん、藤岡拓郎弁護士、内平遥さん、岡崎優貴也さん=千葉市中央区で

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 座談会の後半では、九条以外の改憲の必要性や、長期政権の功罪、参院選で候補者を選ぶときの基準を四人に語ってもらった。(黒籔香織)

 改憲自体について、法政大一年の石橋尚都さん(20)=成田市出身=は日照権や環境権、知る権利など新しい権利を追加する必要性を挙げ、「時代に合った憲法でもいい」と賛成する。

 日大三年の木村寿々香さん(21)=松戸市=は「改憲は法律を変えるより手続きの段階が増えるので、それをするほどではないかな」と話す。

 進行役で弁護士の藤岡拓郎さん(41)が、改憲手続きを定めた憲法九六条について説明。四人は、衆参両院の議員の三分の二以上が原案に賛成すると、国会が発議し、国民投票を行うとする現行の手続きでいいとの意見で一致した。

 「改憲のハードルを下げるのは違う。憲法はそう簡単に変えるものではない」と日大三年の内平遥さん(20)=船橋市=は話す。石橋さんも「憲法を重視する日本では慎重にやっていい」とした。

 憲法は権力に歯止めをかける存在。第二次安倍政権発足から六年半がたった。中高生のころから首相が変わっていない長期政権をどう見るのか。

 内平さんは好意的に受け止め「安倍さんの前までは、ごたごたで首相がすぐに変わる印象があったので、長期政権になれば安定する」と話す。

 「一般的に考えるとやり過ぎ」と千葉大四年の岡崎優貴也さん(21)は否定的。木村さんも「民間とのギャップがある。就職活動をすると、変わることを恐れない人を企業は求め、企業は時代に応じて変わると聞くので」と語る。

 長期政権のデメリットについて岡崎さんは、公的年金以外に老後二千万円の蓄えが必要と試算した金融庁審議会の報告書の受け取りを、安倍政権が拒否したことを挙げる。「自民党を支持しているけれど、あれはひどい。おごっている」

 二十一日投開票の参院選で重視する争点を聞くと、内平さんは消費税率10%への増税を挙げる。石橋さんと木村さんは老後資金二千万円不足問題に言及。岡崎さんが「安倍政権が好きか、嫌いかで決めちゃう人はいるよね」と述べると、三人は「あ〜」と声をそろえてうなずいた。

 改憲の姿勢を重視するか尋ねると、石橋さんは「印象に残らない」とした。岡崎さんは改憲の立場は関係なく候補者の人柄をみて票を入れる。木村さんも「議会での態度や仕事の姿勢が気になる」と話す。

 座談会を経て石橋さんは「議論する意義や価値が見つかった。選挙に行かなきゃいけないと思った」と話した。岡崎さんは「ツイッターで自分の意見に偏ったものばかり見てしまう。議論を深めて改憲のどこが良くて駄目かを知ることができて良かった」と語った。

◆司会・藤岡さん講評 9条の意義問い続けて

 進行役で弁護士の藤岡拓郎さんは「学生たちが自分と異なる意見に触れることで互いの認識が深まり、有意義だった」と総括する。

 九条改憲の議論では「護憲派と改憲派に分けられない若者特有の感受性や自由さがあった」。四人が安全保障関連法の内容を知らなかったことから、改憲議論の前提として、九条に書き込まれる自衛隊の役割の共通認識を持つことが不可欠だと強調する。

 「若い世代なりに対話を重ね、九条の存在意義を何度も問い直すことが、九条を自分たち世代のものとして引き受ける覚悟につながる」と話した。

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