知事選、最多得票「同日」寄与 山本さん「謙虚さ必要」
2019年7月23日 紙面から
二十一日に投開票された知事選と参院選群馬選挙区(改選数一)では、二人の新人が当選した。知事選は無所属の元参院議員山本一太さん(61)=自民、公明推薦、参院選では自民党公認の元県議清水真人さん(44)=公明推薦。投票率は知事選で上がったが、参院選群馬選挙区は過去最低を更新した。戦後最多の票を得た山本さんが抱える課題を探り、参院選では争点となった改憲について出口調査の結果から分析する。
<解説> 知事選に初当選した山本一太さんは当選確実の一報が入った直後、選挙事務所で恒例の万歳三唱はあえてしなかった。「うかれた気持ちはない」という山本さんらしい判断だった。
ただ、元参院議員の山本さんは選挙戦で「私の最大の勲章は、これまで四回の選挙で一度も票を減らしたことがないことだ」と強調していた。その言葉からは強い自負心がうかがえる。
山本さんの参院選での得票は初回の約三十五万票から四回目は約五十八万票に増加。知事選でも約五十八万票を得たが、参院選と同日選になったことで、投票率が大幅に上がったのが大きく寄与した。
それでも知事選の棄権者は約八十三万人。一騎打ちの相手だった石田清人さんの得票を合わせると、有権者の約六割以上を占める百万人超は山本さんを信任したわけではない。山本さんはこの数字を謙虚に受け止める必要がある。
山本さんは昨年末に知事選に出馬表明した際、自民党の県議などに事前に説明がなく、対立した余波が続く。自民関係者からは「当選確実の一報が入った直後に加え、選挙期間中も山本さんの事務所に県議や国会議員の姿があまり見られなかった」という声も漏れる。山本さんが公表している政策を進めるには、県議たちに議案を通してもらわねばならず、この点でも謙虚さが欠かせない。
県政最大の課題は現在、高崎市の高崎競馬場跡地で建設中の集客施設「Gメッセ群馬」だ。施設は全体で事業費に約三百五十億円も投じる巨大な「箱モノ」。利便性の高い都心各地で各施設が集客を競う中、収支や稼働率に不透明感が漂う。山本さん自身も運営に厳しい見解を示す。
この施設をいかに軌道に乗せ、安定した県議会運営もできるのかどうか。山本さんは就任早々、国政で培った手腕が試される正念場に直面する。 (菅原洋)