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茨城

候補擁立「NHKから国民を守る党」とは 「契約者だけ視聴」目指す 4月の統一選で躍進

2019年6月21日 紙面から

 参院選が七月四日公示、二十一日投開票される見込みだ。茨城選挙区(改選数二)には、五人が立候補することを明らかにし、混戦模様だ。主要政党に加え、国会で議席を持たない政治団体「NHKから国民を守る党」(N国)が候補者を擁立した。N国とは、どういう団体なのか。(鈴木学)

 N国は四月の統一地方選で、東京や千葉、埼玉など全国で二十六人の区議、市議を誕生させる躍進で知名度を上げ、現在、所属議員は三十一人いる。

 創設は二〇一三年で、元NHK職員の立花孝志代表(51)はホームページで「NHKから被害を受けている視聴者・国民を全力で、命がけで、お守り致します」と宣言する。受信料制度に関する法律などの制定、改廃の機会を国民に提供することが目的で、キャッチフレーズは「NHKをぶっ壊す」。

 立花代表は「電気、ガス、水道などのライフラインではないNHKの受信がなぜ義務なのか」と問う。目指すは、契約者だけがNHKを視聴できる仕組み「スクランブル放送」の実現で、これで「玄関先や裁判所でNHKと国民の争いがなくなる」と言い、実現すれば解党するとしている。

 参院選には十九日現在、自身を含め比例に四人、選挙区で三十九人を立候補させる予定で、立花代表は取材に「政党要件の2%の得票率は十分見込める」と自信をみせる。

 ただ、参院選の供託金の拠出などを巡って統一選の当選者ら六人が除名や離党となった。「『内紛』などと言われることも否定はしないが、方針についてこられない人を除名しただけだ」と話す。

 党員に右派が多いとされ、過去にツイッターで「アイヌ民族はもういない」と書き込み、自民党を除名された議員もいる。

 N国に詳しいフリーライターの畠山理仁さんは、N国が支持される理由について「受信料を払いたくない人、スクランブル放送に同調する人が多く、それらを掲げる政党がほかにないからだろう。既成政党の存在感が薄く、一つの訴えだけも明快に映るのではないか」とみる。

 受信料の集金人に対応してほしいという人に向け、候補者らが携帯電話番号をホームページで公開していることも「ほかの政党にない敷居の低さ」と指摘。「電話をかけた人には頼りがいがあると見えるかもしれない」

主な政党の公約

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