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主な候補者に聞く(下)

2019年7月10日 紙面から

<問1>ヘイトスピーチをなくすために国が取るべき対策を教えてください

<問2>消費増税への賛否とその理由を述べ、反対の場合は代替財源を教えてください

<問3>憲法改定、9条改憲の賛否と理由を教えてください

(届け出順)

◆乃木涼介(のぎ・りょうすけ)さん(54)国民・新

<問1> 川崎市で議論されている罰則規定付きの条例素案は大きな一歩だと感じております。ヘイトスピーチは許されざる行動だと考えます。刑事規制を設定することに関しては憲法解釈の議論にも発展する恐れがありますが、「言葉の暴力」を許すべきではありません。

<問2> 反対

 消費マインドを冷え込ませる消費増税は今やるべきではなく、家計を増やす政策を採るべき時です。代替財源としては、膨らむ国防費の削減や減る一方の法人税を元に戻す。これらのことをするだけでも大きな予算を確保できます。

<問3> 改憲→賛成 改憲の必要はあると考えます。憲法制定時と比べても時代は流れており、解散権や地方分権などは議論をすべき時期です。

 9条改憲→反対 (理由の記述なし)

◆佐々木(ささき)さやかさん(38) 公明・現<1>自

<問1> ヘイトスピーチの解消に向けては、国民の良識と意思に基づく主体的な努力で人権社会を築いていくことが最善の道だと考えている。罰則については、公権力が国民の言動内容に介入することで表現(言論)の自由を脅かす恐れがあるので、慎重であるべきだ。

<問2> 賛成

 全世代型社会保障を実現するための財源確保として、増税はやむを得ない。軽減税率の適用や教育無償化など恒久的な負担軽減策の効果もあり、日銀も家計負担が前回増税時の約4分の1に抑えられるという試算を出している。景気後退要因となる恐れは低い。

<問3> 改憲→どちらとも言えない 改正論議自体は進め、憲法改正でしか解決できない課題があれば、「加憲」で対応すべきだと考える。

 9条改憲→反対 平和安全法制が、専守防衛のための「自衛の措置」の限界を明確にしたので、現行のままでも隙間のない安全保障が確保されるから。

◆相原倫子(あいはら・りんこ)さん(58) 社民・新

<問1> 差別や敵意をあおるヘイトスピーチは人権侵害の犯罪的行為だが、現行法には罰則がなく実効性に問題がある。自治体にできることにも限界があるので、国は人権救済の実効性を確保するため、政府から独立した専門機関を設ける「人権侵害救済法」を制定すべきだ。

<問2> 反対

 消費税は大企業と富裕層減税の穴埋めにされた。5.7兆円の財源は大企業政策減税縮減と復興特別法人税復活で2.4兆円、金融所得課税強化と所得税累進性強化で1.1兆円、ポイント還元など消費増税対策凍結で1.2兆円、防衛費・原発など予算減で1兆円。

<問3> 改憲→反対 現行憲法の平和主義・国民主権・基本的人権の尊重は国民に定着しており堅持すべきだ。自民党の国家主義的な改憲案は危険。

 9条改憲→反対 9条は日本が他国を侵略した歴史の反省の上に行った国際公約の意味合いを有するものであり、国民の多くも評価している。

◆壱岐愛子(いき・あいこ)さん(33) 幸福・新

<問1> まずヘイトスピーチと言論の自由の明確な線引きが必要であると思います。日本の周辺国に対する言論はヘイトスピーチと受け取られ、国内に対しての言論は内容が同じようなものであっても、ヘイトスピーチとは報道されません。ヘイトスピーチの基準が必要です。

<問2> 反対

 消費税が導入されてから、税収は減り続けています。そもそも政府の借金が増えているだけで、国家は黒字です。税収を増やすためには景気が回復しなければ不可能で、そのためには減税を行うべきです。それによって税収も増え、社会保障費の問題も解消します。

<問3> 改憲→賛成 現行憲法はGHQ下にあった際に押しつけられた、いわば植民地憲法。主権国家としてのあるべき憲法に改正が必要だと思います。

 9条改憲→賛成 現行憲法前文は周辺国が平和である前提の上にあります。現在日本は防衛上危機にさらされており、防衛できる憲法に改正が必要。

◆牧山弘恵(まきやま・ひろえ)さん(54) 立民・現<2>

<問1> 私たちは誰もが分け隔てなく自らの幸福を追求することができる共生社会の実現を目指している。現在のヘイトスピーチの状況を考えると、表現の自由に十分留意しながら、国として規制を強化していくことは十分検討に値すると考える。

<問2> 反対

 現状でも景気悪化の懸念があり、米中貿易戦争の行方も不透明な状況下で消費増税を行うことは、景気悪化の端緒となる危険が非常に高いと考えるので、10月の消費増税は凍結すべきだ。

<問3> 改憲→どちらとも言えない 日本国憲法を一切改定しないという立場は採らない。国民にとって真に必要な改定があるならば、積極的に議論、検討する。

 9条改憲→反対 集団的自衛権を容認した違憲の安保法制を追認することになる上、近隣諸外国にも間違ったメッセージを発することになる。

◆林大祐(はやし・だいすけ)さん(43) N国・新

<問1> ヘイトスピーチの定義が不明確。言論の自由と整合を取ることが困難。ヘイトスピーチを特定者による特定者への悪意ある発言と定義するなら、証拠を記録し被害者が積極的に名誉毀損(きそん)などで訴えればよい。言論統制は不適切で、いたずらに国や行政が規制しない。

<問2> どちらとも言えない

 基本的には消費税は20%以上でも良いと考えている。ただし、現行のキャッシュレス化を無理に織り込む、軽減税率と通常税率の差が僅差であるようなコスト大、税収増に直結しない制度は反対。生活必需品は大減税。嗜好(しこう)品は大増税とし仕切り直しが良い。

<問3> 改憲→どちらとも言えない 憲法改正というテーマが広すぎて回答不可。

 9条改憲→賛成 国民の総意を問うべきであるが賛成。昨今の隣国との緊張関係から、事実上の軍隊である自衛隊の立ち位置を明確にすべきだ。

◆島村大(しまむら・だい)さん(58) 自民・現<1>

<問1> ヘイトスピーチに対する現行法の適切な適用に努め、人権啓発などの人権擁護施策をより一層推進する。国の取り組みとしてのヘイトスピーチ解消法の改正による罰則の適用については、憲法上の問題もあり状況を見つつ、慎重に検討すべきだと考える。

<問2> 賛成

 全世代型社会保障の構築に向け、少子化対策や社会保障に対する安定財源を確保するとともに、社会保障の充実と財政健全化のために必要。一方、税率の引き上げが経済に悪影響を及ぼすことがないよう、低所得者や中小企業・小規模事業者にも配慮する。

<問3> 改憲→賛成 現行憲法の三つの基本原理(国民主権・基本的人権の尊重・平和主義)を維持しつつ、早期の憲法改正を目指す。

 9条改憲→賛成 (理由の記述なし)

◆浅賀由香(あさか・ゆか)さん(39) 共産・新

<問1> 政府がヘイトスピーチを許さない毅然(きぜん)とした態度をとることが最重要課題。自治体の条例制定や罰則化の動きを国としても参照しながら、ネット上のヘイトスピーチ規制のあり方、包括的な人種差別禁止法違反などを視野に法改正について国会で議論すべきです。

<問2> 反対

 前回の8%への増税を契機とした家計消費や実質賃金の落ち込みは回復せず、景気が後退する中で庶民大増税は家計と日本経済への大きな打撃であり、無謀です。必要な財源は大企業や富裕層に応分の負担を求めることなどで確保します。

<問3> 改憲→反対 改憲でなく、9条の恒久平和をはじめ、豊かな人権と民主主義の規定をもつ素晴らしい憲法を守り、政治に生かしていくべきです。

 9条改憲→反対 自衛隊を書き込む9条改憲は9条を死文化し、海外での武力行使に道を開きます。9条を生かした平和外交で世界に貢献すべきです。

◆松沢成文(まつざわ・しげふみ)さん(61) 維新・現<1>

<問1> 人種や民族に対する不当な差別的言動は人々に不安感や嫌悪感を与え、人としての尊厳を傷つけ、基本的人権を脅かし、差別を助長するもので決して許されません。国はしっかりと法規制し、誰もが安心して共生できるよう自治体と連携して啓発に努めるべきです。

<問2> 反対

 改革なくして増税なし! 消費税の増税を凍結します。企業の内部留保金課税、不公平感の強い消費税の益税問題の解決、租税特別措置の整理・縮小、e−ガバメント推進による行政効率化などによって代替財源を確保します。経済成長による税収増を目指します。

<問3> 改憲→賛成 憲法は国民のものです。国民の平和と繁栄のため、新しい時代にふさわしい憲法のあり方を議論することは国会の大切な役割です。

 9条改憲→賛成 独立国家として、自衛権を有し、そのための実力をもつことは当然で、厳格な文民統制の下、自衛隊の保持を明確に定めるべきです。

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