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埼玉

あす公示 1増の議席の行方焦点 改選4 現新9人が出馬予定

2019年7月3日 紙面から

参院選の公示を前に設置されたポスター掲示場=さいたま市で

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 四日公示される参院選(二十一日投開票)で、埼玉選挙区は公選法改正で改選定数が三から四に増える。今のところ、自民、公明、立憲民主、国民民主、共産、日本維新の会などの現新計九人が出馬の予定。「自公の現職がともに議席を維持し、残る二議席を野党で争う」との見方が強く、増えた最後の一議席の行方が焦点になりそうだ。 (井上峻輔)

 改正公選法の成立は昨年七月。「一票の格差」是正を理由に参院全体で定数を六増する内容で、有権者の多い埼玉選挙区では定数が二増えた。参院は三年ごとに半数が改選されるため、今回と次回の選挙で改選定数がそれぞれ一増える。

 定数三だった今までの埼玉選挙区では二〇一〇年以降、自公が一議席ずつを確保する状況が続いてきた。定数が増え、その可能性はより高まっている。

 改選を迎える行田邦子参院議員(53)=二期、希望の党を離党=が出馬せず、八月の知事選にくら替えすることになった影響も大きい。一三年にはみんなの党から出馬して三位で再選し、今回も一定の得票が見込まれていた。

 議席獲得のチャンスが増えたのが野党勢力だ。定数増には「国会議員の身を切る改革に逆行する」とそろって反対していたものの、埼玉選挙区ではその恩恵を受ける形になっている。

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◆与党「自公で2議席」

 今回も「自公で二議席」を狙う与党。自民は定数増に伴い二人目を擁立する選択肢もあったが、二人を立てた一九九八年の参院選で共倒れになった苦い経験もあり、三選を目指す現職古川俊治さん(56)に絞った。

 公明は現職矢倉克夫さん(44)の再選に総力を挙げる。自民は今回も矢倉さんを推薦。二〇一三年の参院選で始まった自公の選挙協力は「埼玉方式」と呼ばれるほど定着し、矢倉さんと並んで自民の国会議員や地方議員がマイクを握る光景が各地で見られる。

 自公の二議席確保に楽観論も出る中、自民は参院選後に控える知事選も視野に入れる。県連が出馬要請した元プロ野球選手でスポーツライターの青島健太さん(61)を党として推薦して支援し、公明も推薦を決めた。

 青島さんも登壇した六月の自民県連参院選総決起大会で、古川さんは言った。「県連の態勢としては私が前哨戦。知事選と両方で勝って初めて私の選挙の意味がある」

◆野党「重点区」で激突

 全国の一人区では候補者を一本化して自民と戦う立民、国民、共産の三党だが、埼玉選挙区では議席を奪い合うライバルとなる。野党議員がそろい踏みする市民集会では「野党で三議席」と威勢の良い声も出るものの、現実的に厳しいのは各陣営も認めるところだ。

 立民は枝野幸男党代表の地元活動を支えてきた元さいたま市議の新人熊谷裕人さん(57)を擁立。熊谷さんは「『当選は当たり前。トップを取れ』と枝野代表に言われている」と明かす。

 国民は元経済産業省職員の新人宍戸千絵さん(41)を立てる。党支持率が低迷する中で「厳しい戦い」と県連幹部。玉木雄一郎党代表は「重点区だ」として、公示前から県内入りを繰り返している。

 連合埼玉は熊谷さんと宍戸さんの両方に推薦を出した。両党ともに初めての全県での選挙になるが、党所属の国会議員や地方議員がいない地域も多く、県内全域への支持の拡大が課題となりそうだ。

 「党幹部の県内入りが多く予定され、かつてない力の入れようだ」と話すのは、四度目の挑戦となる共産の新人伊藤岳さん(59)。前回は次点で議席を逃し、定数増で期待が高まっている。共産が埼玉選挙区で当選すれば、自民が議席を逃した一九九八年以来二十一年ぶりとなる。

 日本維新の会の新人沢田良さん(39)は前回に続いての挑戦。「大阪の政党」のイメージが強い維新を、埼玉でも浸透させようと三年間、活動を続けてきた。「反対するだけの野党が良いか、政策を議論する野党が良いか選んでもらうような選挙戦にしたい」と他の野党との差別化を図る。

 埼玉選挙区ではこのほか、幸福実現党の新人小島一郎さん(48)、NHKから国民を守る党の新人佐藤恵理子さん(33)、安楽死制度を考える会の新人鮫島良司さん(64)も出馬の準備を進めている。

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