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埼玉

公示 論戦スタート 4議席に9候補

2019年7月5日 紙面から

立候補者の訴えに耳を傾ける有権者

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 参院選(21日投開票)が公示された4日、埼玉選挙区でも現職2人と新人7人の計9人が立候補し、17日間の選挙戦が始まった。今回から公選法の改正によって改選定数が3から4に増加。与党は選挙協力をしながら「自公で2議席」を目指し、1人区では候補者を一本化した野党も埼玉ではそれぞれの議席獲得にまい進する。初日は雨天の中を各候補が駆け回り、利用者の多い駅前などで次々に支持を訴えた。 (井上峻輔、藤原哲也、加藤木信夫)

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◆与党 現職2人技術開発や実績を主張

 三選に挑む自民現職の古川俊治さん(56)は、大宮駅東口で第一声。「高齢化という問題を直視し、技術開発で未来を切り開いていく」と声を張り上げた。

 人口減少の中でも「人工知能やロボットを使い生産性を上げられる」と主張。新しい医療技術を生かした産業も興していくと訴え、医師でもある自身について「これからの日本にとって使える人間だ」と語った。

 新藤義孝県連会長ら国会議員や地方議員が次々にマイクを握り、知事選に党推薦での出馬が決まったスポーツライターの青島健太さんも激励に訪れた。

 公明現職の矢倉克夫さん(44)は自民の推薦も受けて二期目を狙う。古川さんと同時刻に大宮駅西口で演説。認知症対策やストーカー規制法改正などを党の実績として掲げ、消費税増税については「国民の皆さまに負担をお願いする以上、国会議員も身を切る改革が必要。議員歳費の10%削減を断行したい」と述べた。

 街宣車を囲むように大勢の支持者が集まった。党前代表の太田昭宏・前国土交通相も応援に入り「彼は英語も中国語も使いこなせる。令和時代の政治家として期待している」とエールを送った。

◆野党 新人4人政権批判や福祉で訴え 

 立憲民主新人の熊谷裕人さん(57)は、地元のさいたま市大宮区で出発式を開催。党県連や推薦を受ける連合埼玉の幹部らが駆け付ける中で「まずは民主主義を守りたい。都合の悪いことは全てなかったことにしてしまう政治をしっかりと変える」と安倍政権を批判しながら、決意を語った。

 さいたま市議を十二年務めた経験から弱い人の立場を守る姿勢を強調し「あなたの笑顔を守りたい」というキャッチフレーズも紹介。時折、雨が強くなる中で「国政に行ってもスタンスは変えずに政治に携わりたい」と主張した。

 国民民主新人の宍戸千絵さん(41)は、JR浦和駅前や大宮駅前でマイクを握った。働きながら親の介護を八年間続けた経験から、現在の介護保険制度には問題点が多いと指摘し「変えるには政治の力が必要だ」とし、支持を求めた。

 就職氷河期を過ごした同世代を意識した主張も展開。非正規雇用者のために職業訓練の制度を構築するとして「失われた世代と言われた私たちがこれからの国づくりの中心になる。私をその先頭に立たせてください」と力を込めた。この日は玉木雄一郎党代表や上田清司知事も応援に入った。

 共産新人の伊藤岳さん(59)は、浦和駅東口で党の比例候補二人と小池晃書記局長と並んで第一声のセレモニーを開いた。年金や暮らしの不安を挙げ「当たり前のことができない安倍政権を、これ以上続けさせるわけにはいかない」と強調。政権与党との対決姿勢を鮮明にした。

 減らない年金を実現させるため、高額所得者に応分の負担を求めるなどの政策転換を提案。自身の政治の原点は「現場の声」だとした上で、奨学金制度の充実などにも意欲を示し「今度こそ国会で働かせてください」と呼び掛けた。

 二〇一六年の前回選に続いての挑戦となる日本維新の会新人の沢田良さん(39)は、県庁前で第一声。「自公政権が進める消費税増税は、問題の先送りにすぎない。参院選の結果をもって増税を止めていく。私にその第一歩を踏み出す機会を与えてほしい」と訴えた。

 二十二万八千票余を獲得したものの、落選した前回選以降、集会や会員制交流サイト(SNS)による情報発信を通じて支持層の拡大に努めたといい「十七日間の選挙戦を通じて、維新がなぜ必要で、沢田に何ができるかを、さらに伝えていきたい」と意気込んだ。

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主な政党の公約

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