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埼玉

候補者の主張

2019年7月9日 紙面から

 改選数四を巡って九人が争う参院選(二十一日投開票)埼玉選挙区。有権者が投票先を決めるのに役立つのが、県選挙管理委員会が配布する選挙公報だ。それぞれの訴えがまとめられ、陣営の個性も表れる。各候補の主な主張内容を紹介する。(井上峻輔) =届け出順、敬称略

◆宍戸千絵(ししど・ちえ)(41) 国民・新

 暮らし変える「ちえ」

 自身の名前と「智恵」をかけて、6本の「ちえ」を掲げた。

 (1)生活のちえ 「乗り合いタクシー」など新たな公共交通を推進 (2)未来のちえ 産業構造の変化に対応して学び直せるように、インターネットと実践教育を組み合わせて教育環境を整備 (3)埼玉のちえ 農業者戸別所得補償制度を導入。集約化、効率化で農業を強化 (4)人生のちえ 信頼できる年金、医療、介護制度をつくる。予防医療や機能回復を充実させる (5)女性のちえ 育児や介護をしながらどこでも働けるようにWi−Fi環境を整備 (6)育むちえ ソーシャルワーカーによる対面相談などサポート体制を充実して、よりどころのある社会をつくる

◆伊藤岳(いとう・がく)(59) 共産・新

 憲法守る6つの公約

 「憲法を守り生かし だれもがまともに暮らせる社会へ」として、六つの公約を列記した。「消費税10%増税はきっぱり中止に」とも記載。大企業にも中小企業並みの税負担を求めるなどして、消費税に頼らずに財源を生み出すことも説明している。

 (1)中小企業支援と一体に最低賃金を時給1500円にする (2)大学・短大・専門学校の授業料半額に そして無償化へ (3)年金を7兆円削減するマクロ経済スライドを廃止し「減らない年金」を実現する (4)1兆円の公費投入で国保税の大幅引き下げを (5)戦闘機の「爆買い」をやめ、保育所・特養ホーム増設を (6)セクハラ・性暴力・LGBT差別NO! ジェンダー平等社会に

◆矢倉克夫(やくら・かつお)(44) 公明・現<1>自

 現場走り世界に挑む

 「現場を走り、世界に挑む」と大きな文字で掲げた。政策「三つの約束」に加えて、身を切る改革として「国会議員歳費の10%削減」にも挑むとしている。

 (1)景気回復の実感を地域・家庭に 最低賃金を1000円にアップ。軽減税率の円滑な実施。農産物の輸出1兆円を後押しし、農家の所得向上 (2)教育負担の軽減や高齢者福祉の充実 2020年度末までに「待機児童ゼロ」。幼児教育の無償化をはじめ、私立高校授業料の実質無償化・高等教育の無償化を推進。介護の負担軽減とサービス向上へ、介護ロボットなどの導入促進 (3)道路網の整備などで災害に強い埼玉つくる 首都高埼玉新都心線の延伸、河川改修促進、道の駅の防災拠点化

◆沢田良(さわだ・りょう)(39) 維新・新

 最後の1議席維新に

 「参議院選挙、最後の1議席は維新か?共産党か?」と問い掛ける異色のスタイルとなっている。

 自民、立民、公明を「当選確実」とした上で「自民党批判だけで議論しない古い野党スタイルを続ける共産党と、自民党と正々堂々議論できる提案重視の維新のどちらが国会に必要でしょうか?」と主張。「最後の1議席を決めるのは、あなたです」と結んだ。

 政党支持率のグラフも掲載し「全国で支持率拡大中」と紹介。「老後に2000万円が必要」とした金融庁報告書についても言及し、「人口増と経済発展を前提として設計された今の社会保障制度に持続可能性があるのか?という当たり前の視点が必要なんです」と訴える。

◆鮫島良司(さめじま・りょうじ)(64) 安楽会・新

 安楽死制度を求める

 「安楽死」の3文字が、ひときわ大きく書かれている。「ひとつの選択肢 安楽死制度に反対ですか」と問い掛け、「賛成の方は選挙区は安楽会公認 さめじま良司へ」と候補者への投票を呼び掛ける。「比例代表は安楽会とお書き下さい」とも記した。

 主張はこの一つだけ。ほかの細かい公約は一つも書かれていない。

 残りのスペースは、安楽死制度を求める声で埋めた。「自分の最後は自分で決めたい」「制度を使いたくない人は使わなければよい」「耐えがたい痛みやつらい思いをしてまで延命したくない」「家族などに世話や迷惑をかけたくない」「人生の選択肢の一つとしてあると『お守り』のように安心」といった具合だ。

◆熊谷裕人(くまがい・ひろと)(57) 立民・新

 「笑顔守る」取り組み

 「あなたの笑顔を守りたい」として「五つの取り組み」を紹介している。

 (1)弱い立場の人を守りたい 児童虐待や貧困、障害の要因に対応する連携システムの構築 (2)働く人を守りたい 働く汗が報われる労働環境構築。保育士や指導員、介護士の処遇改善で、仕事と子育て・介護の両立を進める (3)災害から命を守りたい 激甚化する災害に対する政策を進める (4)この国の未来を守りたい 権力者による権力者のための改正でなく、国民福祉の向上に資する憲法のあり方を議論。原発ゼロや自然エネルギーの利用で未来に責任の持てるエネルギー政策を目指す (5)民主主義を守りたい 民主主義を否定する政治の現状を打破

◆古川俊治(ふるかわ・としはる)(56) 自民・現<2>

 「くにづくり」6本柱

 6本柱の「古川俊治のくにづくり」を掲げた。

 (1)新産業創出による経済の再興 人工知能やロボット、再生医療技術などの研究・開発促進による新産業と雇用の創出など (2)健康で豊かな生活の実現 国民皆保険制度を堅持。持続可能な医療・介護・年金制度への改革など (3)財政再建 行政改革と経済成長による財政再建など (4)世界で活躍できる日本人の育成 外国語や理数系科目の教育の強化による国際人材の育成など (5)国益の保持と防災強化 平和と安全への脅威に対する国際社会とも協調した断固たる対応など (6)農畜水産業の振興 安全で高品質な農産物等の海外販路の開拓など

◆小島一郎(こじま・いちろう)(48) 幸福・新

 心に寄り添う政治を

 「愛しているから、守りたい。心に寄り添う政治を実現します!」と訴える。政策の柱は4本。各国の名目GDP推移のグラフなども掲載し、日本経済成長のために減税の必要性を訴えている。

 (1)消費税減税で、皆さまのくらしを守ります 世界は減税、日本だけ消費増税、小島は減税(8%→5%)。家庭・若者の収入増加、景気回復、中小企業を守る (2)犯罪であるいじめと児童虐待から子どもを守ります いじめ防止条例の制定で「いじめゼロ」に (3)心に寄り添う福祉で、最後まで幸福な人生を (4)憲法改正で、平和と自由を守ります 生命・財産、国境を守り、安心して暮らせる社会へ

◆佐藤恵理子(さとう・えりぃ)(33) N国・新

 NHKをぶっ壊す!

 NHKの受信料制度を問題視する党らしく、党名に加えて「NHKをぶっ壊す!」と大きく記した。記載された主張は、NHKだけを映らないようにする「スクランブル放送の実現」の1本だけだ。

 インターネットでもNHKが視聴できるように法改正されたと紹介し、「このままでは『テレビがない』『NHKをみてない』でも支払いの義務が発生する」と強調。「スクランブル放送の実現に向けて国の中心から変えていくため全国から立候補しています」と党の紹介をしている。

 選挙区と比例代表の2枚の投票用紙の書き方を見本付きで紹介することに大きくスペースを使い、党と候補者への投票を呼び掛ける。

主な政党の公約

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