候補者アンケート
2019年7月11日 紙面から
参院選埼玉選挙区(改選数4)に出馬した9人に、本紙はアンケートを実施した。9条改憲、原子力発電の存続、10月からの幼児教育・保育無償化、選択的夫婦別姓、適正な消費税率−の5問に対する各候補の回答を紹介する。 (井上峻輔、藤原哲也)
=上から届け出順、敬称略
【9条改憲】【原発存続】【幼児教育・保育無償化】【選択的夫婦別姓】
○=賛成 ×=反対 △=どちらでもない
【適正な消費税率】
(1)8%より下 (2)8% (3)10% (4)10%より上
◆宍戸千絵(ししど・ちえ)41 国民・新
【9条改憲】△ 平和主義を守るために国が行使できる自衛権をあいまいにしたまま、憲法9条に自衛隊を明記することには反対。
【原発存続】△ 再生可能エネルギー導入を目指すスマートコミュニティへの転換を推進し、2030年代を目標に原発ゼロ社会を実現する。
【幼児教育・保育無償化】○ 保育士の処遇改善等による待機児童解消は必要不可欠だが、子育ての経済的不安を減らすため、幼児教育の無償化も必要。
【選択的夫婦別姓】△ 改姓で尊厳が傷ついたり、経歴や家名が存続できない問題の解決にもなり、旧姓使用による不合理なコストの削減にもなる。
【適正な消費税率】(3) 超少子高齢化に対応し、生活者の安心を守る観点から「社会保障と税の一体改革」の推進は基本的に必要であると考える。
◆伊藤岳(いとう・がく)59 共産・新
【9条改憲】× 安倍政権の改憲は、9条を死文化させ、再び「戦争をする国」に変えるため。9条を生かし、平和外交で世界に貢献する。
【原発存続】× 原発と人類、地震国日本は共存できない。コストでも失格。再生可能エネルギー普及、脱炭素の方向に大きく転換すべきだ。
【幼児教育・保育無償化】○ 併せて待機児童解消を保育の質の低下を招かないよう認可保育所の増設で進める。無償化は消費増税せずに別の財源で実施。
【選択的夫婦別姓】○ 夫婦同姓を法律で定めているのはわが国だけ。国連も改正を勧告している。選択的夫婦別姓の民法改正を行うべきだ。
【適正な消費税率】(1) 消費税は応能負担の原則に反する税であり、10%への増税に反対。将来的には廃止すべきだ。
◆矢倉克夫(やくら・かつお)44 公明・現<1>自
【9条改憲】× 自衛隊明記の趣旨は理解するが、自衛権の際限なき拡大や9条2項の理念を損なうようなものであれば、当然、反対する。
【原発存続】△ 新基準適合の原発再稼働は当面やむを得ないが、将来的にはなくす。再生可能エネルギーの主力電源化が重要。
【幼児教育・保育無償化】△ 幼児教育・保育の無償化を進め、保育士の待遇を改善し、待機児童を減らすというのは二者択一ではなく両方進めるべきだ。
【選択的夫婦別姓】○ 党として過去に法案も出している。通称使用も含め、結婚後も同氏を名乗れる法改正に賛成する人は実に65%にも達している。
【適正な消費税率】(3) 10%負担してもらうことで高齢者福祉から若者の子育て・教育支援までを含む「全世代型社会保障」を確立させることが大事。
◆沢田良(さわだ・りょう)39 維新・新
【9条改憲】△ 命懸けで国のために活動する自衛隊の方々が、違憲と言われる状態で活動するのはおかしい。ただし、さらなる議論が必要。
【原発存続】× 現状の技術レベルであれば縮小していくべきだが、技術に対する投資は行っていくべきだ。再稼働の責任法案優先を。
【幼児教育・保育無償化】○ 今の社会構造が子どもや子育て世帯に向いていないことは明らかであり、どんどん進めていくべきだ。ただ、詳細は要議論。
【選択的夫婦別姓】○ 今の時代に個人の選択の自由は担保されるべきであり、政治も寛容であるべきだと考える。
【適正な消費税率】(2) 現状の財政状況は決して健全ではない中、現状維持して社会保障制度改革をして体制を整えていくべきだ。
◆鮫島良司(さめじま・りょうじ)64 安楽会・新
【9条改憲】△ 安楽死制度以外の法案については直接民主制を表明しているため、全てどちらとも言えないと回答している。
【原発存続】△ 同上
【幼児教育・保育無償化】△ 同上
【選択的夫婦別姓】△ 同上
【適正な消費税率】無回答 同上
◆熊谷裕人(くまがい・ひろと)57 立民・新
【9条改憲】× これまで日本の平和主義を基礎づけてきたものであるとともに、自民党の9条の改正案に合理性を見いだせないため。
【原発存続】× 子どもたちの未来のためにも原発ゼロ社会を実現すべきである。
【幼児教育・保育無償化】× 政府案は自治体に負担を押しつけるとともに、待機児童対策に十分な手当てがなされていないため。
【選択的夫婦別姓】○ 社会情勢の変化とともに、夫婦のあり方も多様化しており、希望する方々にはそのような道が開かれるべきだ。
【適正な消費税率】(2) 現状では増税する経済情勢にない。
◆古川俊治(ふるかわ・としはる)56 自民・現<2>
【9条改憲】○ 70年以上前と国際環境も日本の立ち位置も変わった。自衛隊という戦力を自衛のために活用していくことを明らかにすべきだ。
【原発存続】△ 新規制基準に合格した原発は稼働させる。将来は原発ゼロを目指し、より効率的な再生可能エネルギー技術の開発に注力する。
【幼児教育・保育無償化】△ 幼児教育・保育の無償化は望ましいことではあるが、政策効果がはっきりとしない。
【選択的夫婦別姓】△ 理由は無回答
【適正な消費税率】(4) 世界で最も進んでいる高齢化に対応するためにも、欧州で消費税が20%であることを踏まえると、15%までは上げられる。
◆小島一郎(こじま・いちろう)48 幸福・新
【9条改憲】○ 緊迫する国際情勢の中、国家を守り抜く体制を整えるには、自衛隊を明確に「国防軍」と定めることが必要と考える。
【原発存続】○ エネルギー自給率6%の日本がこれから安定したエネルギーを供給するには、審査の通った安全な原発は稼働すべきだ。
【幼児教育・保育無償化】× 教育無償化は、国民の血税をばらまく政策であり、教育の質の低下を招く恐れがあると考える。
【選択的夫婦別姓】× 社会の基本は家族であり、個人ではない。夫婦別姓は、家庭の崩壊と家族の絆を失ってしまうことになりかねない。
【適正な消費税率】(1) これまで、消費税を上げても税収は結果的に下がっている。増税は、消費を冷え込ませ、家計や企業に大きなダメージ。
◆佐藤恵理子(さとう・えりぃ)33 N国・新
【9条改憲】△ 理由は無回答
【原発存続】× 同じことを二度と繰り返してはいけない。
【幼児教育・保育無償化】△ まず先に保育士の給料を上げる努力をすべきだ。
【選択的夫婦別姓】○ 別姓にしたところで問題があると思えない。
【適正な消費税率】(1) 理由は無回答