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改選議員の動き 強行連発 続く自民1強

2019年6月24日 紙面から

参院平和安全法制特別委で、安保関連法案の採決をめぐり、委員長席に詰め寄る与野党議員ら=2015年9月17日

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 二〇一三年の参院選で当選した参院議員は七月二十八日の任期満了を前に、通常国会会期末の六月二十六日に国会活動を事実上終える見通しだ。過去六年、安倍晋三首相は、衆参それぞれの選挙で連勝。「安倍一強」体制の下、改正組織犯罪処罰法対応などで強引な手法が際立ち、国会での議論を軽視する傾向も顕著になった。投票記録を通じ議員の動きを振り返った。

▽ねじれ解消

 任期満了を迎える参院議員は欠員を除く百十八人。自民党は一三年七月の参院選で圧勝し、参院で野党が多数を占める「ねじれ」を解消した。首相は秋の臨時国会で、機密漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法制定に着手。国民の「知る権利」侵害への懸念を残したまま、与党は十二月、採決を強行し成立させた。

 一四年六月には、憲法改正手続きを確定させる改正国民投票法が共産、社民両党を除く与野党の賛成多数で成立した。

 首相は十一月、消費税率10%への増税を延期すると表明し衆院を解散。自民、公明両党は定数の三分の二を超える議席を維持した。翌一五年、首相は通常国会では戦後最長の九十五日間の会期延長を決断し、九月には歴代政権が禁じてきた集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法を成立させた。二百時間余りの審議の末、根強い反対論を押し切った。

▽異例の手段

 一六年六月、首相は「再び延期はないと断言する」との前言を翻し、消費税増税再延期を表明。七月の参院選で与党は勝利し、参院でも憲法改正に賛同する改憲勢力が三分の二を超えた。これを機に強硬対応が加速。十二月には環太平洋連携協定(TPP)を承認。一七年六月には「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法を、委員会採決を省く異例の手段を用いて成立させた。

 七月の東京都議選で自民は歴史的惨敗を喫する。学校法人「加計学園」問題などで内閣支持率は急落。首相は野党の召集要求を逆手に取り秋の臨時国会の冒頭、衆院解散に踏み切る。「国会軽視だ」と野党が反発する中、十月の総選挙で与党は再び定数の三分の二を確保した。

▽揺らぐ民主主義

 一八年通常国会では、働き方改革関連法を巡り、厚生労働省の調査に不適切なデータが多数見つかり、与野党が激しく対立。政府は、裁量労働制の対象拡大断念に追い込まれた。「一票の格差」是正で、与党は参院定数を六増やす改正公選法の成立を強行した。ギャンブル依存症への強い懸念が指摘された、カジノ解禁を含む統合型リゾート施設(IR)整備法に関しては、与党と日本維新の会が賛成した。

 会期中に、財務省は学校法人「森友学園」への国有地売却を巡り、決裁文書改ざんを認めた。大島理森衆院議長は「民主主義の根幹を揺るがす」と異例の所感を出し、政府に再発防止を求めた。

 外国人労働者の受け入れを拡大する改正入管難民法については、今年四月施行を目指した官邸の意向をくみ、与党がスピード審議。新制度の詳細は「検討中」との答弁が目立ち、野党が反発した。衆参両院の法務委員会での実質的な質疑時間は三十五時間余りで、議論が不十分と指摘された。

 一般会計総額が百一兆四千五百七十一億円と過去最大の一九年度予算は三月二十七日に成立。野党は、日米貿易交渉や年金問題などを巡り、たびたび首相出席での衆参両院予算委員会審議を求めているが、与党は応じていない。

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