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政治への信頼 揺らぐ 安倍政権6年半 情報開示も争点に

2019年7月3日 紙面から

 第二次安倍政権以降の六年半では、政権側にとって都合の悪い情報を意図的に隠すかのような不祥事が立て続けに起き、「公」への信頼が根底から揺らいだ。参院選は主権者である国民に正確な情報が開示され、国の針路を決めていくという民主主義の基盤を、どう取り戻すかも問われている。

 学校法人「森友学園」への国有地売却を巡っては、昨年三月、財務省の決裁文書が改ざんされ、安倍晋三首相の妻昭恵氏が関係していたことをうかがわせる記述などが削除されていたことが判明。加計学園の獣医学部新設に関しても、「総理の意向」と記載された文書を菅義偉(すがよしひで)官房長官が当初「怪文書」と主張。文部科学省内で発見されてもなお政府は事実関係を詳しく説明しようとしなかった。

 自衛隊の南スーダン国連平和維持活動(PKO)やイラク派遣の日報を巡っても隠蔽(いんぺい)の問題が追及された。いずれの日報にも、派遣に支障が生じかねない治安の悪化が記されていた。

 政府は一七年十二月、行政文書管理に関するガイドラインを改正。意思決定過程の検証に必要な文書は、一年以上保存することなどを定めた。

 だが、公文書管理法の抜本的な改正は行われずじまい。意図的に公文書を作成しなかったり、作った文書を「個人メモ」にとどめたりできる余地が残った。

 ガイドラインに反する問題はその後も続いた。

 今年になって、首相と省庁幹部の面会記録を首相官邸が作成していない事実が判明。閣僚の日程を記録した文書も各省庁が短期間で廃棄していた。

 六月、老後の蓄えとして二千万円が必要とする金融庁審議会の報告書が公表され、公的年金制度への不安が広がると、麻生太郎金融担当相は受け取りを拒否。都合の悪い公文書の存在を消すような対応として批判を集めた。

 公文書管理に詳しい瀬畑源(はじめ)・成城大非常勤講師は、政権の体質も参院選の争点と指摘。選挙戦では「政策決定過程の公表や、政治家と官僚の接触記録を必ず残すなど政治の質を高める改革」を各党が論じるよう期待している。 (中根政人)

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