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首相遊説日程公表せず 災害対応理由抗議活動を警戒?

2019年7月6日 紙面から

 参院選で、各党首らの論戦に有権者の関心が高まる中、自民党は総裁の安倍晋三首相による街頭演説の日程を公表していない。党本部は、災害対応などで演説日程が不確定のためと説明するが、識者からは投票の判断材料となる演説を聴く貴重な機会が失われると懸念する声が上がっている。

 自民党は、党役員や閣僚の演説予定を事前に党のホームページ(HP)で告知しているが、首相の日程は演説終了後まで掲載していない。党担当者は「九州の豪雨災害がまだ続いている。政府対応を優先して演説が中止される可能性があるため、公表を控えている」とするが、遊説先では候補者らが事前に首相の来訪を周知して支持者を集めている。

 首相の街頭演説を巡っては、二〇一七年の東京都議選の際、聴衆の一部が「辞めろ」とヤジを飛ばし、首相が「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と発言して非難された。日程を公にしないのは、抗議活動を行う人たちが演説会場に集まるのを避けるためとの見方もあるが、党担当者は「そういうことは全くない」としている。

 駒沢大の逢坂巌(おうさかいわお)准教授(政治コミュニケーション)は「演説を静かに聴ける機会があることが大事だ。集団で演説を妨害することはいけない」としつつも「首相は堂々とした度量を見せてほしい」と述べ、日程を公表すべきだと指摘する。

 公明党や立憲民主党、国民民主党、共産党、日本維新の会、社民党は事前に党首クラスの街頭演説の予定をHPで公開している。 (妹尾聡太)

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