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<ともに>幼保無償化対象外の類似施設 保護者「不公平」「救済拡大を」

2019年7月8日 朝刊

幼稚園類似施設「モンテッソーリたんぽぽ子供の家」で手遊びを楽しむ子供たち=千葉県船橋市で

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 「幼稚園類似施設」が国の幼児教育・保育無償化の制度外に置かれることに、保護者から不満の声が上がる。自治体が支援していない施設は、国が検討を始めた救済策からも漏れる可能性があり、保護者の不安は大きい。 (大野暢子)

 「周りの幼稚園は無償化されるのに私たちの施設は対象外。不公平だ」。千葉県船橋市の類似施設「モンテッソーリたんぽぽ子供の家」に次女(5つ)が通う主婦の堺紗代さん(35)は憤る。

 施設は一九八六年の設立以来、約三百人の卒園児を送り出してきた。市の財政支援はなく、三〜五歳クラスの三十六人に、国の救済策が届かない恐れがある。

 小川浅子園長は「無償化からはじかれると保護者から選ばれにくくなり、運営は難しくなる」と困惑。幼稚園の基準より多い職員を置き、児童の発達に合った教育を目指すが、園庭の面積が足らず、幼稚園の認可を取るのは難しいという。

 同県市川市では、類似施設を利用する保護者有志が今年六月、救済を求める請願を市議会に提出し、全会一致で採択された。市はこの施設を使う家庭に年三万円程度を補助しており、国が救済対象として検討している「自治体の財政支援を受けている施設」という条件を満たしている。

 ただ、補助額は、幼稚園が無償化された場合の十分の一ほど。国が検討する救済策の内容によっては、無償化並みの補助が受けられない可能性もある。

 請願提出者の一人で主婦の大野冬子さん(41)は「近くに幼稚園や保育所が少なく、類似施設しか選択肢がない家庭もある」と無償化の範囲の拡大を訴える。

 幼児教育・保育に詳しい明星大の垣内国光(かきうちくにみつ)名誉教授は「保護者に不公平が生じているのは事実だ。自治体が質を把握していない施設の無償化には慎重であるべきだが、一定の質を満たしていると確認できた類似施設には財政支援をし、無償化につなげていくべきではないか」と話した。

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