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<ともに>受験格差 動画でなくす 無料講義1万本をサイトに

2019年7月9日 紙面から

無料で講義が視聴できるMANAVIEのサイト

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 参院選で各党は、家庭状況にかかわらず学べる社会の実現を訴えている。そんな中、民間の学習動画サイト「MANAVIE(マナビー)」が大学受験に必要な科目の講義を集め、無料での紹介を始めた。パソコンやスマートフォンで、一万本を超える講義動画を制限無く見ることができる。運営者は「家庭の経済環境による教育格差をなくしたい」と塾に通えない子どもたちに利用を呼びかけている。 (安藤美由紀)

 サイトは英語と生物の講師を務める佐藤智寛さん(34)=ペンネーム=の会社などが共同で運営する。英語、国語、数学、物理など十一教科の講義が視聴できる。教科ごとにコース分けされ、英語は英文読解、英作文、英会話などの十二、国語は現代文、古文、漢文など九コースが選べる。

 学校の教師や塾の講師といったプロや、教育ユーチューバーと呼ばれるセミプロらがネットに公開した無料講義動画の中から、一定水準にあり、系統的に学べる動画を運営者が集めた。

 家庭の経済事情や住む場所による教育の格差を減らしたいと、二〇一〇年に東京大学の学生らが無料学習サイトを開設。当時も講師を務めていた佐藤さんが一七年にサイトの趣旨を引き継いで「MANAVIE」を立ち上げ、大学受験に必要な科目をそろえた。

無料動画学習サイト「MANAVIE」を運営する佐藤智寛さん

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 佐藤さんは「予算がゼロでも、東大にだって合格できる」と塾に行けない子どもたちにエールを送る。「塾で英語などを受講し、残りはMANAVIEでとの活用方法もある。勉強に関心がない人の興味を引くような面白い動画も発信し、利用を広げたい」と話す。詳細はネットで「MANAVIE」と検索する。

 家庭の経済事情は、子どもの教育に影響を与えているとみられる。文部科学省、厚生労働省の調査によると、一七年四月時点で、生活保護世帯の大学や専修学校への進学率は35・3%。全世帯(73・0%)の半分程度にとどまる。

 経済協力開発機構(OECD)の一八年調査によると、私費を含めた日本の幼児教育から高等教育までの教育関連の支出は加盟国平均を上回り、政府支出は平均以下だ。

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