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<公約点検>(3)消費税 「10月増税」野党は反対

2019年7月11日 朝刊

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 消費税増税を巡っては、与野党が賛否の立場から主張をぶつけ合う展開になった。自民、公明の与党が十月の税率10%への引き上げを訴え、野党五党は増税の凍結や中止を唱える。社会保障や子育て政策の充実に向け、与党は消費税を活用するとし、野党は別に財源を求めている。

 自公の公約はどれも消費税増税が前提だ。痛税感の緩和も期待し、軽減税率の導入をそろって明記。増税後の消費落ち込み防止策として、キャッシュレス決済時のポイント還元▽住宅・自動車購入の税制優遇▽低所得・子育て世帯向けのプレミアム付き商品券発行−を自公とも列挙した。

 安倍晋三首相は税率10%に理解を求めるため「安倍政権で税率をこれ以上引き上げることは全く考えていない」と再三強調。自身の決定権が及ばない「今後十年くらい」は上げる必要はないとの見通しまで示した。公明党は増税を機に政治家も「身を切る」覚悟を示すべきだと議員歳費の一割削減を打ち出した。

 これに対し、野党が税率10%への引き上げに反対で足並みをそろえたのは、増税は消費や景気を一層冷え込ませるとの判断からだ。

 立憲民主は「家計の本来の消費力を回復させることから経済を活性化する」と強調し、公平な税制への転換を唱える。具体的な記述はないが、富裕層や大企業の税負担を高めることが念頭にあるとみられる。

 国民民主は家計支援の政策を前面に掲げた。子育て支援のための「子ども国債」発行も提唱する。

 ただ、両党は現段階での増税に「凍結」「反対」の立場。将来の増税は否定していない。二〇一二年の三党合意で自公両党と増税を決めた旧民主党の流れをくむからだ。立民の枝野幸男代表は公示直前の党首討論会で「結果的にあの判断は間違っていた」と釈明せざるを得なかった。

 日本維新の会も増税凍結の立ち位置だ。増税の前の「身を切る改革」として国会議員報酬、定数の三割カットを訴える。

 共産、社民は税率10%への引き上げは「中止」と言い切る。共産は、増税しなくても大企業や富裕層への課税強化などで七兆五千億円を捻出できると主張。社民も税・予算の見直しで税率2%分に相当する年五兆七千億円を生み出せるとした。

 政治団体「れいわ新選組」は消費税廃止を公約している。個人消費が活発になり、景気回復で税収が増えるとした。 (生島章弘)

主な政党の公約

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