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投票終了、繰り上げ3割超 選管「期日前定着」 識者「投票機会に格差」

2019年7月12日 朝刊

 二十一日投開票の参院選で、全国の投票所の35・3%が、午後八時の投票締め切り時間繰り上げなどで投票時間が短くなる。総務省が十一日に発表した。二〇一七年衆院選よりも0・4ポイント多い。各選挙管理委員会は期日前投票の定着などを繰り上げ理由に挙げるが、識者は、有権者の間で投票機会の格差が生まれかねないと指摘している。

 参院選の投票所は全国で約四万七千カ所に設置される。うち神奈川、千葉、大阪を除く四十四都道府県の計約一万六千六百カ所の投票所で、投票時間が短縮される。島根県は94・1%、鹿児島県は90・6%の投票所で、締め切り時間を繰り上げる。首都圏では群馬県88・2%、茨城県87・0%が繰り上げる。

 茨城県では、県庁所在地の水戸市が市内七十五カ所すべての投票所の終了時刻を午後七時にする。市選管は本紙に「期日前投票が定着している」と説明。群馬県で最も人口の多い高崎市も市内百八カ所の投票所を午後七時で閉じる。市選管は「県内の多くの市町村が同様の措置をとっているためだ」と話している。

 島根県は、県庁所在地の松江市を除く市町村が全投票所で締め切りを繰り上げる。二番目に人口の多い出雲市も市内七十八カ所の投票所の終了時刻を一〜二時間繰り上げる。市選管は「夜間の投票者数が著しく少ない」と説明する。公職選挙法は、国政・地方選挙で投開票日の投票時間を午前七時〜午後八時と規定。「特別の事情」がある場合に限り、市町村の判断で終了時刻繰り上げなどを認めている。

 国際医療福祉大の川上和久教授(政治心理学)は「投票所の終了時刻を繰り上げる自治体とそうでない自治体との間で、有権者の投票機会に格差が生まれるのは問題だ。山間部や離島など事務負担の面で問題がある場合を除いて、投票所の終了時刻は統一すべきだ」と話している。 (中根政人)

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