• 東京新聞ウェブ

総合

海洋プラごみ、論戦の波訪れず 「世界から取り残される」NPO警鐘

2019年7月12日 朝刊

日本初の「ゼロ・ウェイスト宣言」をした徳島県上勝町のごみ集積所

写真

 海洋プラスチックごみは六月の二十カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)で主要テーマの一つになるなど、今や国際的な課題となった。参院選で各党は公約に環境政策を掲げるが、論争はいまひとつ盛り上がっていない。ごみをゼロにする活動を続けるNPO法人は「このままでは世界から取り残される。積極的な議論と対策を」と警鐘を鳴らしている。

 大阪サミットでは、二〇五〇年までに海洋プラごみによる新たな汚染をゼロにすることを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が首脳宣言に盛り込まれた。世界全体で年八百万トン以上が海へ流出し、五〇年までに魚の総重量を上回るとの世界経済フォーラム(WEF)の試算もある。

 日本はG20エネルギー・環境相会合で、レジ袋の有料化を来年四月から実施する意向を表明した。政府は三〇年までに使い捨てプラの排出量を25%削減するとの目標を掲げるが、他国より遅れているとの指摘もある。

 町内のごみをゼロにする日本初の「ゼロ・ウェイスト宣言」をした徳島県上勝町では、町内の商店などに容器を持参することでプラスチック製容器包装類のごみを減らし、徹底した分別でプラごみの約八割をリサイクルしている。

 上勝町のNPO法人「ゼロ・ウェイストアカデミー」理事長、坂野晶さん(30)は「政府方針は削減に向けた具体的なロードマップを示していない」と指摘。「英国では数年おきの計画が細かく組まれている」と例に挙げ、日本も段階的で実現可能な戦略が必要と話す。

 「レジ袋やストローはプラごみ全体の微々たるもので、政府の計画は不十分」と坂野さん。参院選では「有権者が環境政策に関心があるということを政治家に伝えていくことが大切だ」と話す。

 世界三位のプラスチック生産国の日本は、関連企業も多い。国際的関心が高まり、世界経済を取り巻く状況は変化しつつある中、坂野さんは「産業界が投資の方向性を転換して世界の潮流から取り残されないよう、支援する政策が求められる」としている。

写真

主な政党の公約

新聞購読のご案内