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低迷続く投票率 正確な民意、反映できぬ恐れ

2019年7月14日 朝刊

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 二十一日投開票の参院選は投票率も大きな焦点だ。長期低落傾向が続いており、過去には50%を割ったこともある。投票率が低いと、選挙結果は民意を正確に反映したとはいえず、国民から強い信任を受けていない国会議員が国の針路を決めることになる。 (上野実輝彦)

 参院選の投票率(選挙区)が70%を超えたのは、衆参同日選だった一九八六年の71・36%が最後だ。九二年以降は60%を割り込んでいる。九五年には44・52%と過去最低を記録した。

 第二次安倍政権以降も、二〇一三年が52・61%、一六年が54・70%で、高いとはいえない。政府は投票時間の延長や期日前投票の導入など、投票しやすい環境づくりを進めてきたが、低落傾向の歯止めになっていない。

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 衆院選の投票率(小選挙区)も、自民党から民主党に政権交代した〇九年は69・28%だったが、その後は低迷。前回の一七年は53・68%だった。

 投票率が低い場合、全有権者に占める得票割合「絶対得票率」が低くても、多くの議席を占有するという現象が起きる。

 一三年参院選の選挙区で自民党の絶対得票率は21・78%、一六年は21・76%だった。いずれも全有権者の五人に一人程度しか自民党に投票しなかったのに、自民党の獲得議席割合は一三年が64・4%、一六年は50・7%に達した。

 投票率が下がると、経済団体や農業団体など組織票の重みが相対的に増す。このため、多くの支持団体に支えられた自民党などの政党が、低投票率では有利とされてきた。

 共同通信社が十二、十三両日に行った参院選の第二回トレンド調査では、参院選に「大いに関心がある」「ある程度関心がある」は計64・0%。公示前の第一回調査では計59・7%。選挙戦が中盤に入っても関心は大きく伸びてはいない。

 明治大の井田正道教授(政治学)は、今回の参院選について「投票結果によって政策が変わるような対立軸が示されておらず、国民の関心は高まっていない」と分析。低投票率が続けば結果として、与党が支持団体の望む政策を優先するようになることから「棄権は白紙委任だ」と警鐘を鳴らす。「政権与党を支持しない人ほど棄権する傾向がある」とも指摘した。

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