福島・大熊町 復興願う一票 震災以降、初の投票所開設
2019年7月16日 紙面から
東京電力福島第一原発が立地し、事故による全町避難が四月に一部解除された福島県大熊町で十五日、参院選の期日前投票が始まった。町内での投票所開設は、二〇一〇年十月の福島県知事選以来約九年ぶり。
投票所となった町役場一階の会議室では朝から職員らが準備に当たった。避難指示が解除された中屋敷地区に住む無職の三津間義一(みつまよしいち)さん(65)は「生鮮食品が買える店や診療所の整備を進めてほしいとの願いを込め投票した」と話した。
町によると、住民票があり、町に住んでいるのは六十六人。一方、町の有権者は八千四百八十二人で大多数が町外に避難しているため、いわき市や郡山市など県内八カ所にも期日前投票所を設けている。
町選挙管理委員会の担当者は「ようやく自分の町で投票でき感慨深い。町民はまだ一部しか戻っていないが、選挙期間に役場に寄る機会があれば利用してほしい」と話した。