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競る1人区 重点 自民緩み警戒 野党、比例票も注力

2019年7月17日 朝刊

参院選の選挙戦中、街頭演説や集会で支持を訴える(上から)自民党総裁の安倍首相、公明党の山口代表、立憲民主党の枝野代表、国民民主党の玉木代表、共産党の志位委員長、日本維新の会の松井代表、社民党の又市党首、れいわ新選組の山本太郎代表

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 本紙がまとめた参院選の終盤情勢で、有利な戦いを進めている与党は今後、野党と競っている選挙区を重視して戦う。一方の野党は劣勢をはね返そうと、重点区に加え比例票の掘り起こしにも力を入れる構え。最終盤に向けた各党の戦略をまとめた。

◆最終盤へ 各党の戦略は

 自民党は各社の情勢調査で、目標とする与党での改選過半数(六十三議席)確保は確実と報じられているが、緩みがないようにさらに引き締めを図る。安倍晋三首相(党総裁)は残りの期間中、改選一人区で野党と接戦を繰り広げている東北各県や三重、滋賀に入り、てこ入れする予定。公認候補を二人立てた北海道、千葉、東京、広島では二人当選を確実にするため、党幹部らが重点的に入る。

 七選挙区の全員当選と、比例代表での六人以上当選の計十三議席以上を目指す公明党。特に最重点区に位置づけるのが兵庫選挙区。最後の議席を他党と争っているとみて、国会議員の秘書や支持母体の創価学会の会員らが集結し、支持拡大を狙う。

 立憲民主党は、統一候補を擁立した一人区に加え、接戦の複数区にも幹部を投入する。枝野幸男代表は今後、大分などの一人区に入るほか、他の幹部も京都や大阪などの複数区を重点的に回る。都市部では、元タレントなど知名度のある比例候補らが演説し、無党派層の取り込みを図る。

 国民民主党にとって今回は「国政選挙のデビュー戦」(玉木雄一郎代表)だが、選挙区、比例とも改選議席の維持に向けて厳しい戦いとなっている。これまでに党幹部が入った選挙区でも、党幹部が静岡などの接戦区に優先して入り、一つでも多くの議席獲得を目指す。

 共産は、選挙区での改選三議席を死守するため、幹部らが激戦区入りし、てこ入れを図る。比例では六年前と同じ五議席からの上積みを狙う。志位和夫委員長は千葉や大阪、京都など当落線上の選挙区を回り、改憲阻止などを呼び掛ける。

 日本維新の会は、地盤の関西で足場を固めた上で、当落線上で競る神奈川などに、松井一郎代表ら党幹部を投入し、支持浸透に力を入れる方針だ。党ホームページでは、幹部らの演説動画や政策をPRし、比例票底上げを目指す。

 社民党にとっては、国政政党としての存否がかかる選挙戦。政党要件の比例での有効得票総数2%確保が至上命令だ。体調不良で参院選への立候補を取りやめた又市征治党首も公示後には街頭演説をし、特に比例での議席維持に躍起だ。

 政治団体「れいわ新選組」は比例での議席獲得を目指し、インターネットをフル活用して若者票を得たい考え。ホームページなどを通じ、街頭演説や記者会見の様子を生中継し、支持獲得を図る。

◆終盤情勢調査の方法

 終盤情勢は、本紙独自の取材と共同通信社の電話世論調査を総合して判断した。共同通信社の電話世論調査は14〜16日の3日間、全国の有権者を対象に、コンピューターで無作為に電話番号を発生させて電話をかけるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)法で実施した。今回、無作為に発生させた番号のうち、実際に有権者がいる世帯にかかったのは5万4050件で、このうち4万3614人から回答を得た。

主な政党の公約

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