農政連、自民回帰 46都道府県で推薦 なお苦戦も
2019年7月18日 紙面から
二十一日投開票の参院選で、JAグループの政治運動組織「農業者農政運動組織連盟」(農政連)が、三重を除く四十六都道府県の選挙区で自民党候補を推薦している。二〇一六年の前回参院選では、十府県の農政連が自民候補への推薦を見送ったが、今回は「自民回帰」の動きが鮮明。それでも、農業が基幹産業の東北では自民候補の苦戦が目立っている。 (山口哲人)
農政連は自民の強力な支援組織だが、一六年参院選は青森、岩手、宮城、秋田、山形、石川、三重、京都、高知、佐賀の農政連が推薦を見送り、自主投票を選択。安倍政権が進めた環太平洋連携協定(TPP)や農協改革への反発が背景にあった。
今回は、どの候補者にも従来、推薦を出していない三重を除き、四十六都道府県の農政連が自民に推薦を出した。秋田県農政連の担当者は「農協改革やTPPで現政権への不満の声はあるが、自民現職は農業への理解がある」と説明。高知県農政連の担当者も「農家やJAの声を(国政に)反映してもらうには政権与党の方が良い」と話す。
それでも東北六県は、自民の苦戦が伝えられる選挙区が多い。一六年参院選でも、秋田以外の五県で野党統一候補に敗れた。今回は秋田も、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」配備を巡る不手際で逆風にさらされている。安倍晋三首相(自民党総裁)は十七日、公示後二回目となる山形、宮城両県に足を運んだ。
農政連の推薦を得たにもかかわらず苦戦している理由について、自民幹部は「民主党政権がやった戸別所得補償制度がいまだに効いている。農家は制度復活の幻想を抱いている」と解説する。
今回の参院選で、民主党の流れをくむ立憲民主、国民民主両党は、生産コストの赤字分を交付金で穴埋めする同制度の復活を公約に盛り込んでいる。東北のある野党統一候補の陣営は「現場の農家に、安倍政権への不満は根強く残っている」と話している。