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知名度生かして全国遊説に奔走

2019年7月20日 紙面から

 今回の参院選では、主要政党の党首ではない二人の国会議員が街頭演説などで注目を集めている。一人は「令和おじさん」として有名になった菅義偉(すがよしひで)官房長官。もう一人は「れいわ新選組」代表の山本太郎参院議員だ。閣僚の菅氏と、小さな政治団体代表の山本氏は、あまり政治に関心のない人の間でも話題になっている。

 「はいずり回ってでも皆さんのために抵抗を続ける、ややこしい野党になりたい」。山本氏が十九日夜、東京・JR新橋駅前の広場で声を上げると、人々から大きな歓声と拍手がわいた。

 同時にインターネットで流れた生中継でも「風穴を開けろ!」「視聴者めっちゃ増えたね」などのコメントが続々と流れ、関心の高さをうかがわせた。

 山本氏は選挙期間中、二〇一三年参院選で選挙区とした東京だけでなく、札幌市や仙台市などのターミナル駅前などで演説を繰り返した。発足から日が浅い政治団体の名前を広く知らせるため大都市部で訴え、議席獲得につなげる戦略だ。

 「雇用を確保するのが政権の最も大事な責務だ」。菅氏は十八日、松山市の街頭演説でこう訴えた。

 菅氏が全国遊説に奔走するのは、四月に新元号を発表して知名度が急上昇し、応援要請が相次いでいるためだ。安倍晋三首相と同時に官邸を長時間、空けることも多く、菅氏が四日の公示後、首都圏に終日とどまったのは一日だけ。十九日も山形と宮城を回った。

 危機管理を担う官房長官は普段、災害やテロに備えて都内に待機している。首相と二人そろって官邸を不在にするのは、これまでは選挙期間中でも異例だった。それだけ、菅氏の人気が高いといえる。

 野党は不測の事態への備えが不十分と問題視するが、政府は「指揮体制に間隙(かんげき)は生じない」としている。 (上野実輝彦、妹尾聡太)

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