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白紙委任、損するのは国民 政治部デスク・高山晶一

2019年7月21日 朝刊

 学生のころ、国の中枢にいるだれかの机の引き出しに「国家百年の計」があり、それに基づいて堅実に国が運営されているのではないか…という幼稚な想像をしていたときがあった。

 社会に出て、さまざまな取材をする中で、やはりそんなものはないのだと実感した。それどころか、国が進める政策は不特定多数の利益を考えたものばかりでなく、特定の団体が有力政党の有力議員に働き掛けたものが法律になったり、予算化されたりすることもあるという現実を知った。

 だれかがちゃんと考えてくれるだろうと高をくくり、政治家や官僚に白紙委任すれば、とんでもない法律が成立し、税金が不公平に使われるかもしれない。この六年半も、実際そんなことはなかっただろうか。

 国の針路は、私たち一人一人が考えて決めなければならない。その機会が、二十一日投開票の参院選だ。

 誤った方向に進んでいると思えば、投票で意思を示し、是正させることが期待できる。三年に一度、参院定数の半数ずつ改選されるのは、私たちが判断する機会を多く設けるためだ。

 夫婦で二千万円ためなくても本当に老後は大丈夫なのか。十月から消費税率を上げて幼児教育・保育を無償化すべきなのか。論点はたくさんある。

 そして、もし国家百年の計が今の日本にあるとすれば、憲法のことだろう。ここまで七十二年間、私たちの平和なくらしを守ってきた。今回の参院選は、それを見直すかどうかを左右する局面でもある。この重大な選択に参加せず、白紙委任して喜ぶのはだれか。損をするのはだれか。公約や選挙公報を吟味し、必ず投票所に足を運ぼう。

主な政党の公約

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