• 東京新聞ウェブ

総合

改憲勢力 3分の2割る 自公、改選過半数は確保

2019年7月22日 紙面から

開票センターでインタビューに答える安倍首相=21日午後10時44分、東京・永田町の自民党本部で(戸田泰雅撮影)

写真

 第二十五回参院選は二十一日投開票され、自民、公明の与党が改選過半数(六十三議席)を得た。一方、与党や改憲に積極的な日本維新の会などの改憲勢力は、改憲発議に必要な三分の二(百六十四議席)を割った。安倍晋三首相は、国民民主党の名前を挙げて、一部野党議員を取り込み改憲実現を目指す考えだが、早期の改憲発議は困難になった。参院選の行方を占う改選一人区三十二選挙区のうち、野党側は十議席を得た。立憲民主党も改選議席を大幅に増やした。投票率(選挙区)は共同通信社の二十二日午前一時二十分現在の推計で48・80%と、過去二番目に低かった。

 首相は二十一日夜のテレビ番組で、参院選の結果について「国民は安定した基盤の下に政策を進め、国益を守るよう判断した」と強調。今後も経済政策「アベノミクス」を推進し、消費税率10%への引き上げは予定通り今年十月に実施するとした。

 改選一人区で、自民は栃木や石川、岐阜など二十二議席を得たが、非改選を加えた勢力は単独過半数を失った。公明は選挙区で擁立した七人全員が当選し、改選議席(十一議席)を上回った。

 立民と国民民主、共産、社民の野党四党は一人区全てで統一候補を擁立。前回二〇一六年に得た十一議席に迫る十議席を得た。このうち、米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)移設に伴う名護市辺野古(へのこ)への新基地建設問題を抱える沖縄や、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の配備候補地がある秋田では、統一候補の新人が勝利した。維新は改選七議席を上回った。社民は比例で議席を得た。

 山本太郎参院議員が代表を務める政治団体「れいわ新選組」は、比例代表で二議席を獲得した。

 憲法を巡って、自民は公約で九条への自衛隊明記など改憲四項目を掲げ、早期の新憲法施行を目指すとした。立民や国民、共産などは安倍政権の下での改憲に強く反対した。

 選挙戦で、与党は強固な日米同盟を基軸にした外交・安全保障政策やアベノミクスの実績、公的年金制度の持続性を強調した。

 野党は、老後の夫婦の蓄えに二千万円が必要とした金融庁審議会報告書の受け取りを拒否した政府の対応を厳しく批判。低年金者への支援充実などを訴えた。

<改憲勢力> 共同通信社や本紙の取材などから、自民、公明、日本維新の会の3党に加え、改憲に前向きな諸派・無所属議員を改憲勢力と判断した。衆院では改憲案の国会発議に必要な総議員の3分の2を超えており、今回の参院選で合計85議席を獲得すれば、非改選議席と合わせて参院でも3分の2以上を維持する。非改選の改憲勢力は自公維3党に、いずれも無所属の藤末健三、渡辺喜美、平山佐知子の3氏を合わせた計79人。諸派は今回の参院選に候補者を擁立しなかった政治団体「希望の党」。希望は衆院に2議席持つ。

主な政党の公約

新聞購読のご案内