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首相、消費増税へ決意 追加経済対策に含み

2019年7月23日 紙面から

 安倍晋三首相(自民党総裁)は二十二日の記者会見で、十月の消費税率10%への引き上げを掲げた参院選の勝利を受け、増税の円滑な実施に向けた決意を示した。その上で、米中貿易摩擦をはじめとする世界経済の減速懸念に言及し、「景気の下振れリスクにはちゅうちょなく、機動的かつ万全の対策を講じていく」と、追加経済対策にも含みを持たせた。

 参院選では消費税を巡り、予定通りの引き上げを訴えた与党が改選議席の過半数を獲得し、凍結・中止を主張した野党を制した。この結果を踏まえ、首相は消費税収を充てる幼児教育・保育の無償化や、低所得者層の高等教育無償化を挙げて「約束通り、実行に移す」と明言。子育て世帯の負担を軽減することで「家庭の経済事情に関係なく、子どもたちの誰もが夢に向かって頑張ることができる社会を作り上げていく」と強調し、増税への理解を求めた。

 二〇一九年度予算に盛り込んだキャッシュレス決済時のポイント還元制度や子育て・低所得者層向けのプレミアム付き商品券発行などを通じ、国内総生産(GDP)の六割近くを占める個人消費を下支えする意向も重ねて表明。「今回の選挙で得られた安定的な政治基盤の上に、積極果敢な経済政策に取り組んでいく」と語った。

 これに関連して、麻生太郎副総理兼財務相は都内の会合で、参院選の結果について「これまで消費税を上げた政権はいずれもすぐ倒閣されている。それが二回も上げる(のに選挙で勝つ)のだから、考えられないことが起きている」と指摘。十一月には首相の通算在職日数が憲政史上、最長になるという見通しを示し、「政権が安定し、経済政策が継続できるのは極めて大きな意味がある」と述べた。 (生島章弘)

◆首相会見の要旨

 安倍晋三首相(自民党総裁)の記者会見要旨は次の通り。

 【参院選】与党で改選過半数を大きく上回る七十一議席を得た。安定した政治基盤の上に、新しい令和時代の国造りを進めよとの力強い信任を頂いた。

 【消費税増税・経済対策】世界経済の先行きには不透明感があるが、景気の下振れリスクには、ちゅうちょなく機動的に対策を講じる。

 【憲法改正】与野党の枠を超え、衆参両院で三分の二の賛同が得られる改正案を練り上げたい。自民党案だけにとらわれず、柔軟に議論していく。二〇二〇年(に改正憲法を施行する)という目標について、今もその思いに変わりはない。ただし、スケジュールありきでない。少なくとも議論は行うべきだという国民の審判が下った。野党はこの民意を正面から受け止めていただきたい。国民民主党の中に、議論すべきだと考えている人がたくさんいる。

 【臨時国会】新しい参院議員の任期が始まってすぐの、八月一日に召集したい。

 【内閣改造・党役員人事】全く白紙だ。今からゆっくり考えたい。

 【自民党総裁四選】党則で三選までと決まっており、四選は全く考えていない。

 【中東・ホルムズ海峡の有志連合構想】どのような対応をするか、米国の考え方の詳細を詰めていかなければいけない。(米国とイランの緊張緩和に向けて)日本が求められている役割を果たしたい。できる限りホルムズ海峡が波静かとなるよう努力していきたい。

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