• 東京新聞ウェブ

東京

候補者アンケート 9条改憲 自公でもスタンスに違い

2019年7月9日 紙面から

写真

 改憲論議の重要な焦点は、なんといっても戦争放棄や戦力不保持を定めた憲法九条だ。東京選挙区に立候補した二十人に九条改憲への賛否を聞いたところ、「賛成」は四人、「反対」は八人、「どちらともいえない」は四人だった。「回答なし」は四人。

 九条改憲は、自民にとって最も優先度の高い「一丁目一番地」(下村博文・憲法改正推進本部長)とされる。その自民は公約で、戦争放棄をうたう九条一項と戦力不保持を定めた二項を維持した上、新たに自衛隊を明記する「九条の二」の新設を主張。この案に主要な野党が反対する構図となっている。

 ただ自民の武見敬三さんは「どちらでもない」と回答。「平和主義を維持した上で、国会の審議を含む国民的な議論を進めるべきだ」と主張した。自民の丸川珠代さんは回答がなかった。

 これに対して自民と連立政権を組む公明の代表山口那津男さんは「反対」。大多数の国民は自衛隊を容認しているとして「平和安全法制で専守防衛の対応は可能」と指摘し、九条改憲を巡る自民とのスタンスの違いをあらためて明らかにした。

 九条改憲の自民党案には「国及び国民の安全を保つために、必要な自衛の措置をとることを妨げず」との条文があり、「存立危機事態」に限って行使できるとされている集団的自衛権がフルスペック(全面的)で行使可能になるとの指摘もある。こうした懸念を受けてか、山口さんは「フルスペックの集団的自衛権は認められない」とも指摘した。

 一方、立憲民主は、候補者によって微妙な差も。「反対」を選んだ山岸一生さんは「日本の平和と繁栄に貢献してきた九条を尊重する」と主張。「どちらでもない」を選択した塩村文夏さんは「九条改憲議論を一切否定する立場ではない」とした。ただ両者とも、現行の九条に自衛隊明記の規定を追加する自民党案には、「断固反対」(山岸さん)「明確に反対」(塩村さん)と答えた。

 共産の吉良佳子さん、国民民主の水野素子さん、社民の朝倉玲子さん、諸派(れいわ新選組)の野原善正さんはいずれも「反対」。「日本を再び『戦争する国』に変える安倍政権の改憲は絶対に許さない」(吉良さん)「自衛権の解釈を無制限に拡大する改憲に反対」(水野さん)などと指摘した。

 野党では、維新の音喜多駿さんが「賛成」。「『戦力を持たない』とする憲法と自衛隊の存在は矛盾する」と訴えた。

 諸派(幸福実現党)の七海ひろこさんは「ミサイルの発射など日本を脅かす国から守るためには九条改正が必要」として賛成。無所属の野末陳平さんは「どちらでもない」を選んだ上で、「現状のままで自衛隊は評価されているのだからまだ九条改憲の段階ではない」とした。 (岡本太)

      ◇

 アンケートでは野原さんは八日に回答があり、八日掲載の「改憲」の是非は「反対」。八日までに、丸川さん、西野さんから回答を得られなかった。森さんは回答を拒んだ。大橋さんは一部のみ回答。

主な政党の公約

新聞購読のご案内