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候補者アンケート 幼児教育・保育無償化 「保育士の待遇改善優先」

2019年7月12日 紙面から

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 政府が少子化対策の一つとして実施する幼児教育・保育の無償化は、消費税率を10%に上げた増税分を財源として十月から始まる。対象になる子どもは約三百万人と見込まれる。この施策への賛否を、候補者に聞くと、「賛成」は六人で、「反対」と「どちらでもない」がそれぞれ五人、「回答なし」が四人だった。

 三〜五歳児は原則として全世帯、ゼロ〜二歳児は低所得世帯を対象に、認可保育所や幼稚園、認定こども園の利用料が無償になる。国の基準を満たさない認可外保育所なども一定額の範囲で費用を補助する。

 この支援策に賛意を示した自民の武見敬三さんは「子育て世代への支援の充実は活力ある健康長寿社会の実現のための重要な政策」と意義を説明する。

 ただ、「賛成」の立場で無償化に一定の評価をするものの、他の子育て支援策の強化も同時に望む候補者も少なくない。

 公明の山口那津男さんは「保育士の待遇改善や受け皿整備で待機児童を減らすことと並行して進めるべきだ」と指摘。他にも「最優先課題は待機児童の解消。一方で無償化も必要なので賛成」(国民の水野素子さん)、「無償化と同時に待機児解消をすすめる」(共産の吉良佳子さん)などと、いわば条件付き賛成の意見も相次いだ。

 こうした認識は賛否にかかわらず共通しているようだ。無償化で子どもを預けようとする人が増えれば、待機児童問題が悪化する恐れもある。「反対」とした中からは、「待機児童を解消した上で段階的に導入。保育士の待遇改善がまず急務」(立民の山岸一生さん)、「待機児童解消や保育の質確保を優先すべき」(立民の塩村文夏さん)などの主張が寄せられた。

 もともと、無償化は保護者の負担軽減になると歓迎する声がある一方、保育の受け皿の整備や保育士の待遇改善を優先すべきだという批判もある。認可外施設なども対象に含まれ、安全面への懸念も根強い。収入の多い世帯ほど恩恵が大きくなり、高所得層の優遇策だという反発もある。

 こうした意見を代弁してか、「反対」とした中には「高収入層まで無償化する必要はない」(無所属の関口安弘さん)、「高所得者優遇であることも問題」(塩村さん)という指摘もあった。

 「どちらでもない」とした意見は「無償化は基本的に良いこと。しかし保育所増設なども優先順位が高い」(維新の音喜多駿さん)、「第一に保育士の待遇改善と人員確保が必要」(無所属の野末陳平さん)などだった。 (杉戸祐子)

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 アンケートでは、丸川さん、西野さんから回答を得られなかった。森さんは回答を拒んだ。大橋さんは一部のみ回答。

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