参院選は二十一日の投開票まで残り十日を切った。現職四人と元職一人、新人十五人が立候補した東京選挙区（改選数六）で、駅前や選挙カーで支持を呼び掛ける候補者や、演説を聴く有権者らの思いを聞いた。

　自民現職の丸川珠代さんは十二日午後、町田市の玉川学園前駅で「私は七歳の子を育てながら議員をしています」と生活感をアピール。親子連れやお年寄りらと握手を交わした。同市の主婦高木貴子さん（５９）は「暮らしが楽になるよう頑張ってほしい」と期待した。

　立民新人の塩村文夏さんは「武器の爆買いで福祉が細る。女性議員を増やせば福祉や教育が充実する」と訴える。十一日夜に大田区の大森駅で演説を聴いた同区の教員熊谷治巳さん（６１）は「世の中は男女同数だから、女性議員を男性と同じ数にするのが当たり前」。

　自民現職で政策通を自負し、選挙前から「個人演説会などで、じっくり話を聴いてもらう方が向いている」と話していた武見敬三さん。同日夜、足立区で開いた個人演説会では「政策には強い。選挙にも強い武見にしてください」と支持拡大を求めた。

　党代表として全国を回る公明現職の山口那津男さんは都内で三日目の活動となった同日、地元・葛飾区の新小岩駅前で演説。政治の安定を訴えつつ「なっちゃんです」とお茶目な一面も。同区の会社員鈴木伸一さん（６４）は「自民の手綱役を期待したい」と語る。

　立民新人の山岸一生さんは十二日午前、ＪＲ八王子駅前で「忖度（そんたく）、隠蔽（いんぺい）の政治を変えたい」と主張。長靴姿で水たまりも気にせず、チラシを受け取った人に駆け寄り、握手。八王子市のパート土方（ひじかた）みゆきさん（２２）は「自分の思いとしっくりくる人に投票したい」。

　共産現職の吉良佳子さんは若者の働き方や年金問題に触れ「暮らしに希望を」と訴える。十一日夕、江東区の亀戸駅での演説では、花言葉「希望」のガーベラの造花を右胸に付けた。支援者はスマートフォンで動画撮影。「人柄が伝わるようＳＮＳにアップします」

　国民新人の水野素子さんは宇宙航空研究開発機構（ＪＡＸＡ）勤務で二児を育てる「宇宙かあさん」として「子どもの笑顔を守る」と約束する。活動を手伝う育休中の女性（４２）は育児や女性の働き方の政策に注目。「自分たちの生活がかかっている」と切実だ。

　長年勤める労働組合で雇用問題などを解決してきた実績を前面に出す社民新人の朝倉玲子さんは、一日六〜七カ所で街頭演説。陣営は「立ち止まって聞いてくれる人が増えてきた。非正規労働者から『期待している』と声を掛けられた」と手応えを感じている。

　維新新人の音喜多駿さんは、比例代表で維新から出馬の元同僚都議とコンビを組み、政治改革を軽妙に訴える。十一日は杉並区で、古巣・都民ファーストの地元選出都議が応援に。陣営は「都民ファとは政策で共通点があり、陰で支えてくれる人がいる」と明かす。

　政治団体「れいわ新選組」新人の野原善正さんは、自身が住む沖縄県に集中する米軍基地問題の解決と、公明党の支持母体で自ら所属する創価学会の変革の二つを一貫して訴える。「地縁も血縁もない東京で、大勢が訴えに共感してくれる」と好感触を口にする。

　無所属元職の野末陳平さんは、多摩地区を中心に選挙カーを巡らせてきた。十六日以降は本人も街頭に出て対話集会を開く。「選挙戦後半は下町を中心にギンギラギンに回る。高齢者に限らず、団塊ジュニア世代の生活もよくするという訴えを届けたい」と陣営。

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　（６…２０）　改選１増　　　　

丸川珠代　４８　自現＜２＞　（元）五輪相　　　　

塩村文夏　４１　立新　　（元）都議　　　　　

武見敬三　６７　自現＜４＞　（元）厚生労働副大臣

山口那津男　６７　公現＜３＞　党代表　　　　　

溝口晃一　５０　諸新　　写真家　　　　　

森純　７１　無新　　（元）会社員　　　　

山岸一生　３７　立新　　（元）朝日新聞記者　

吉良佳子　３６　共現＜１＞　党中央委員　　　

水野素子　４９　国新　　ＪＡＸＡ職員　　

関口安弘　６７　無新　　会社役員　　　　

佐藤均　４８　諸新　　会社役員　　　　

朝倉玲子　６０　社新　　労組書記長　　　

音喜多駿　３５　維新　　（元）都議　　　　　

七海ひろこ　３４　諸新　　幸福実現党役員　

横山昌弘　７６　諸新　　（元）小金井市議　　

野原善正　５９　諸新　　（元）学習塾講師　　

西野貞吉　８３　無新　　（元）タクシー運転手

大橋昌信　４３　諸新　　（元）朝霞市議　　　

大塚紀久雄　７８　諸新　　貸事務所経営　　

野末陳平　８７　無元＜４＞　（元）大蔵委員長　　

　※候補者の年齢は投票日基準