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候補者アンケート 選択的夫婦別姓 進まぬ法制化、容認は多数

2019年7月15日 紙面から

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 選択的夫婦別姓を巡っては、導入に向けた国会の動きは鈍く、国民の意識とのずれが浮かび上がっている。

 一九九六年、法相の諮問機関の法制審議会は答申で導入を提言。法務省は民法改正案を準備しながらも、国会提出には至っていない。最高裁大法廷は二〇一五年、夫婦同姓を認めた民法の規定は合憲との判断を示している。

 一方で、一七年の内閣府の世論調査では、法改正に賛成の割合が42・5%となった。法制化や国会審議を求める市民の動きは活発化しており、都内では中野区、文京区、町田市などの地方議会が関連の意見書を可決。都議会では今年六月に請願が採択された。

 候補者へのアンケートでは、導入について賛成が十二人、反対が一人、どちらでもないが三人と、賛成が最も多かった。「回答なし」は四人だった。

 賛成のうち、立民の塩村文夏さんは「夫婦同姓を望む夫婦を否定するものでは全くなく、別姓を望む夫婦の価値観を実現する制度を導入すべきだ」と主張。公明の山口那津男さんは「既に法制審議会の是認する答申が出ている。容認する国で混乱はなく定着している」、共産の吉良佳子さんは「夫婦同姓を法律で定めている国は日本だけ。国連も改正を勧告している」と国際的な状況を踏まえて回答した。

 女性の社会進出や少子化などに伴い、導入を求める声は広がってきた。立民の山岸一生さんは「旧姓によるキャリアの継続性や改姓による同一性喪失の問題、一人っ子同士の婚姻に伴う家系・家名の存続問題への対策」、国民の水野素子さんは「多様な生き方や女性の社会進出を推進する意味からも必要」、社民の朝倉玲子さんも「夫婦のどちらか一方にだけ義務的にリスクを背負わせることは妥当ではない」と指摘する。

 維新の音喜多駿さんと、諸派(れいわ新選組)の野原善正さんは、個人の判断に委ねるべき問題との見解を示した。

 これに対し、反対と答えた諸派(安楽死制度を考える会)の横山昌弘さんは「子供がどの時点で名前を決めるか等、問題が多い」とした。

 参院選の公示直前に主要政党の党首がそろった党首討論では、選択的夫婦別姓を認めるかとの問いに安倍晋三首相だけが挙手をせず、認めない姿勢が現れた。自民の武見敬三さんは「どちらでもない」と回答し、「国民の意識に基づいた対応が大切」としている。 (渡辺聖子)

 アンケートでは、丸川さん、西野さんから回答を得られなかった。森さんは回答を拒んだ。大橋さんは一部のみ回答。

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