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女性当選数に注目 全国最多改選数6、3人なら初

2019年7月17日 朝刊

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 二十一日投開票の参院選では、全国で改選数が最も多い東京選挙区(改選数六)で、複数の女性候補が戦いを優位に進めている。もし三人以上当選すれば同選挙区で初めて。男女の候補者数をできる限り等しくするよう政党に求める「政治分野における男女共同参画推進法」が昨年五月に施行されて初の国政選挙で、当選者も男女同数になるか。 (宮崎美紀子、渡辺聖子)

 今回の参院選は、全候補者に占める女性の割合が28%と過去最高を記録。二十人が立候補した東京選挙区でも、六人(30%)が女性だ。共同通信の情勢調査では、このうち三人が知名度の高さや女性活躍の訴えなどで当選圏をうかがう。

 戒能(かいのう)民江・お茶の水女子大名誉教授(ジェンダー法学)は「東京は変革を望む時代の流れに敏感なのかもしれない。地方との意識の差はまだ大きいが、東京で三人当選すれば、時代の変化の象徴になる」と解説する。

 戦後、女性が参政権を得たばかりの第一回参院選(一九四七年)では、東京選挙区で深川タマエさん(無所属)が当選。全国区と地方区(いずれも当時)で計十人の女性が当選したが、地方区では深川さんを含め二人だけだった。

 東京選挙区ではさらに、日本の女性参政権運動をリードした市川房枝さん(無所属)が、五三年から三期連続で当選。五九年は柏原ヤスさん(同)がトップ当選、次が市川さんで、女性が初めて半数を占めた。

 その後も、全国に知名度のある女性政治家を輩出。八六年には、ローマ五輪の体操日本代表だった自民の小野清子さんが当選。九二年に当選した公明の浜四津敏子さんは、羽田孜内閣で環境庁(当時)長官を務めた。二〇〇四年からは元ニュースキャスターの蓮舫さん(当時は民主、現在は立民)が議席を守っている。

 一方、全国に目を向けると、改選数が少ない選挙区も多く、二議席を男女一人ずつ分け合うケースや一議席に女性だけ当選することもある。一九九八年の神奈川選挙区(改選数三)では畑野君枝さんと千葉景子さんが当選し、女性が過半数になったこともある。

 しかし改選数六の東京で女性が半数を占める意味は大きい。候補者数や議員数の一定枠を女性に割り当てる「クオータ制」導入を目指す「クオータ制を推進する会」の役員で、元参院議員の川橋幸子さんは「一〜二人区では『地域代表は男』という考えが女性の立候補を阻んできた。東京は地縁・血縁が弱く、政党が党の看板として女性候補を出しやすいのでは」と推測。「東京での変化は、時間がかかっても、きっと地方に波及する」と期待している。

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◆東京選挙区立候補者(届け出順)

 (6…20) 改選1増

丸川珠代 48 自現<2> (元)五輪相    

塩村文夏 41 立新  (元)都議     

武見敬三 67 自現<4> (元)厚生労働副大臣

山口那津男 67 公現<3> 党代表     

溝口晃一 50 諸新  写真家     

森純 71 無新  (元)会社員    

山岸一生 37 立新  (元)朝日新聞記者 

吉良佳子 36 共現<1> 党中央委員   

水野素子 49 国新  JAXA職員  

関口安弘 67 無新  会社役員    

佐藤均 48 諸新  会社役員    

朝倉玲子 60 社新  労組書記長   

音喜多駿 35 維新  (元)都議     

七海ひろこ 34 諸新  幸福実現党役員 

横山昌弘 76 諸新  (元)小金井市議  

野原善正 59 諸新  (元)学習塾講師  

西野貞吉 83 無新  (元)タクシー運転手

大橋昌信 43 諸新  (元)朝霞市議   

大塚紀久雄 78 諸新  貸事務所経営  

野末陳平 87 無元<4> (元)大蔵委員長

※候補者の年齢は投票日基準、<>の数字は当選回数

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