• 東京新聞ウェブ

栃木

3候補者に聞く 指定廃棄物、原発再稼働

2019年7月19日 紙面から

 本紙は参院選栃木選挙区(改選数1)の候補者へのアンケートで、東京電力福島第一原発事故で発生した放射性物質を含む「指定廃棄物」の処理問題について尋ねた。塩谷町に最終処分場を建設する国の方針に、候補者3人全員が「反対」と答えた。原発再稼働の賛否は意見が分かれた。3人の回答とそれぞれの問題の現状を紹介する。(北浜修)

(届け出順)

<問い> 県内の指定廃棄物の最終処分場を、環境省は塩谷町に建設する方針です。国の方針に「賛成」「反対」「どちらとも言えない」のどれかを選び、理由を答えてください。

◆諸派新人・町田紀光さん

 反対 農家での保管は避けるべきだが、なぜ塩谷町に処分場を建設する必要があるのか。福島原発近くになぜ造らないのか。

◆自民現職・高橋克法さん

 反対 塩谷町民の理解がまったく得られない現状である以上、塩谷町に建設することには反対。

◆立民新人・加藤千穂さん

 反対 暫定集約は国主導で進め、最終処分は特措法を見直し、国の責任で加速させ、各県処理はやめさせるべきだ。

◇宙に浮く処分場計画 1万3500トン 11市町に一時保管

 県内にある指定廃棄物は今年三月末現在で、福島県の次に多い約一万三千五百トン。農家の敷地や公共の焼却施設など、十一市町の約百六十カ所に一時保管されている。福島に近い那須塩原市と那須町に五割以上が集中する。

 二〇一四年七月に環境省は、必要な面積(約二・八ヘクタール)を確保できる場所であることなどから、塩谷町の国有地を最終処分場の候補地に決定した。しかし、地元は湧水の水源に近いなどと強く反発。今も建設のめどは立っていない。

 一時保管が長期化する中、保管する農家の負担を軽減するための暫定措置として、同省と県、農家がいる日光、大田原、矢板、那須塩原、那須、那珂川の六市町は昨年十一月、農家が保管する指定廃棄物(牧草、稲わら、堆肥など計約二千九百九十トン)を、各市町ごとに一カ所か数カ所に集約することで合意した。

 同省は「暫定集約」に向け、放射能濃度を今月から再測定し、容積を減らす減容化や、暫定集約の場所、保管方法の決定の参考にする。測定結果は来年三月をめどに公表する見通し。

 ただ、暫定集約が実現できたとしても、最終処分場の建設計画は宙に浮いたままで、その後の展開は見通せない。

<問い> 原発の再稼働について「賛成」「反対」「どちらとも言えない」のどれかを選び、理由を答えてください。

◆諸派新人・町田紀光さん

 どちらとも言えない 国民生活に障害が出るなら、代替策ができるまではやむを得ない。だが現状では必要性を感じられない。

◆自民現職・高橋克法さん

 やや賛成 安定的な電源として原発は必要だが、徹底した省エネ、再エネの導入などで、依存度は可能な限り低減すべきだ。

◆立民新人・加藤千穂さん

 反対 現行の安全基準は、テロ対策やシビアアクシデント対策、実効性ある広域避難計画などが欠落している。

◇「東海第二」影響大 反対の請願・陳情 8市町採択

 本県に最も近い原発は、茨城県東海村の日本原子力発電(日本原電)東海第二原発。同県と接する茂木町から約三十キロ強の距離にあり、県境に近い市町には再稼働の問題を当事者として捉える住民もいる。また、栃木県内のほとんどの市町が、重大事故発生時に茨城県から避難者を受け入れる広域避難協定を結んでおり、影響は避けられない。

 同原発は一九七八年十一月に営業運転を開始。東日本大震災で自動停止した。日本原電は二〇一七年十一月、原子力規制委員会に運転期間の延長を申請し、一八年十一月に認められた。

 県内では、日本原電の申請以降、再稼働に反対するさまざまな市民団体が、各市町議会に請願や陳情を提出している。これまでに、茨城県に比較的近い益子、茂木、市貝、真岡、芳賀、那須烏山、那珂川、塩谷の八市町の議会が採択した。

 県内での採択第一号は一七年十二月の益子町。請願した市民団体は「町のほぼ全域が五十キロしか離れていない。被害は県境に関係なく及ぶ」と主張した。

 深刻な事故に備え、茨城県の市町と広域避難協定を結んでいる県内の自治体は、日光市、塩谷町を除く二十三市町。受け入れを想定する避難者は計約十三万人にのぼる。

主な政党の公約

新聞購読のご案内