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千葉

市民の率直な思い

2017年10月1日

 北朝鮮のミサイル問題などを挙げて「国難突破」と衆院解散に打って出た安倍晋三首相。九条改憲、原発、若者の暮らし…。多くの課題が山積する中、市民は今回の解散をどう受け止めたのか。率直な思いに耳を傾けた。

◆住宅確保に一貫した支援を

 福島から自主避難・高田良子さん

原発の再稼働に「どうして教訓を生かせないのか」と訴える高田良子さん=松戸市で

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 福島県南相馬市から自主避難し、松戸・東北交流サロン「黄色いハンカチ」の運営に携わる高田良子さん(68)=松戸市=は「生活再建の第一歩は住宅の確保。自治体ごとに提供される公営住宅に格差がある」と指摘する。「原発からの距離だけでなく避難先でも線引きされる」として、国による一貫した支援を求める。

 千葉県などへの避難者が国や東京電力に損害賠償を求めた訴訟で千葉地裁は九月二十二日、国の責任を否定した。自らも裁判外紛争解決手続き(ADR)を申し立てている。「お金のために闘うのは嫌。早く終わらせてほしい」と訴える。

 東電福島第一原発から三十キロ圏の自宅は放射線量が高く、いまだ帰れる当てはない。原発の再稼働が進む現状に「いいかげんにして。地震大国で原発を動かせば滅びの道をたどるだけ。どうして教訓が生かせないのか」。 (林容史)

◆憲法無視の政治多過ぎる

 市民団体代表・菊池嘉久さん

「9条改悪改憲解散だ」と話す菊池嘉久さん=市川市で

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 市民団体「戦争はいやだ!市川市民の会」の代表菊池嘉久さん(74)=市川市=は今回の衆院解散を「9条改悪改憲解散」と呼ぶ。「9条を変える準備のための解散。今、選挙をすれば(改憲の発議に必要な)3分の2議席を取れると考えている。有権者をばかにしている」と訴える。

 政権奪還後、安倍政権は、特定秘密保護法、集団的自衛権の行使を認める安全保障関連法、「共謀罪」の趣旨を含む改正組織犯罪処罰法を、次々に成立させてきた。「憲法無視の政治が多過ぎる」と批判する。

 安倍首相は5月、憲法9条1項、2項を維持した上で自衛隊の存在を明記する案を提起している。

 菊池さんは「戦うことのできる自衛隊を明記すれば、9条2項の『戦力不保持』や『交戦権の否認』と矛盾し、憲法違反になる」と指摘している。 (黒籔香織)

◆消費増税、使い道明確に

 木更津高専専攻科1年・永作俊さん

「この時期の解散はおかしい」と話す永作俊さん=木更津市で

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 「核開発やミサイルなど北朝鮮情勢が緊迫する中、国民を守ることができるのだろうか」。木更津高専専攻科一年の永作俊さん(21)=木更津市=は、この時期の衆院解散を疑問視する。「そもそも森友・加計(かけ)問題を説明すると言っていたはず。安倍政権は全然、説明責任を果たしていない」と指摘する。

 茨城県出身で、現在は木更津市内で一人暮らし。消費税の10%への引き上げについては「8%になって何が変わったのか、実感が湧かない。引き上げるなら納得のいく使い道を明らかにしてほしい」と訴える。

 将来はエンジニアを目指している。次の政権に対しては「少子高齢化が進む中、若者としては年金がもらえるかどうかなど、将来に不安が多い。医療や教育分野の充実に力を入れてくれる候補者に一票を託したい」と話した。 (山口登史)

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